独立開業した個人事業主ならぜひとも知っておきたい「消費税」のこと
事業主なら「消費税の支払い」が待っている
サラリーマンの時には絶対ありえなくて個人事業主になると発生する、つまり個人事業主になってみないと分からないことのひとつに「消費税の支払い」があります。
事業を営んでいるんですから、お客様から代金をいただく時に「消費税」もいただくことになります。消費税は国へ納めるべきものでそれを消費者から一時的に預かっているというものですから、使っちゃうわけにいきません。すごく簡単に言うと、1年間に2,160万円の売上があって、そのうち8%分が消費税だとしたら、160万円は翌年国に消費税として納税しなければならないんです。
だから、売上から経費や生活費を引いた残りを全部自由に使っちゃって良いなんていうことはありえませんから、そこんところ覚えておきましょう。
1000万円未満なら「免税」
1年間の売上が1,000万円未満の事業者の場合、消費税は預かっていても納税を免除されます。(と言っても、仕入とか経費支払とかの際に消費税支払っているんだから、消費税を全く納めていないというわけではないんですけれど、ね)。・・・これがよく言う「1,000万円の壁」です。
ひとりで開業して事業をやっていく上で、年間1000万円の売上を越えるか越えないかというのは、その後消費税を納めるか納めないか?という非常に大きな分岐点でもありますから、そのことをよく覚えておきましょう。
キーワードは「2年前」
ただし、売上1000万円のボーダーラインというのはそう単純なものではありません。厳密には「2年前の売上が1000万円を超えていた場合、その年の売上額に応じた消費税の支払い義務が発生する」というのがルールです。また、いったん1000万円を超えて消費税の課税業者になったら、その後2年間は免税業者へ戻れないというルールもあります。つまり、
- 売上1000万円を越えたらその2年後に消費税の支払いが発生する
- 以後2年間はとにかく消費税を払わなければならない
というわけです。
想定外にキツい消費税の支払い
それだけ収入があるんだから当たり前じゃん、と軽々しく言うことなかれ。そう言って正論を吐けるのはサラリーマンの方や悠々自適で事業を営める一部の方だけです。手元の現金や銀行預金残高とにらめっこしながら事業運営と同時に生活設計もしていかなければならない個人事業主にとっては、目の前からうん十万円がいきなり消えていくというのは、想定外にキツイものです。
上記でも触れたように純然と1080万円の売上に対する消費税を納税するとしたら、80万円を納めなければなりません(もちろん実際にはもう少し少ないですが)。それだけでも十分「キツい」と思いますが、以下のようにスケジュールを見せられたら?
~3月31日まで
所得税の支払・消費税の支払い
~6月30日まで
住民税の支払い
~8月31日まで
個人事業税の支払い
これ以外にも、個人事業主には「自分と家族の分全員の国民健康保険料の納付」が待ち構えています。・・・手取り35万円貰えてほとんどすべてを生活設計に充当できるサラリーマンと異なり、「手元に残っている現金の3~4割近くが必ず毎月のように何かに消えていく(→ホントは払われていくですが、感覚的には消えていく、でしょう)」という個人事業主にとって、ある月にいきなりドカン!と数十万円払ってくださいというのは、非常にキツいものなのです。
売上はたくさん稼いだ方がもちろん良いけれど
経営者なのですから、売上はたくさん稼いだほうがもちろん良いに決まっています。そのことを否定するつもりは筆者の私自身にも毛頭ございません。
けれども、一人親方の個人事業主で事業をやっていると、年間売上1000万円つまり毎月90万円とか100万円とかいう売上が入ってくるとなると、どうしても気持ちが大きくなってしまうようです。こういうシビアな金勘定についてアドバイスをしてくれる身近な方というのが、個人事業主の場合ほとんどいないと思いますので、そのことも考えると「売上がガンガン上がっているからと言ってどんぶり勘定しては決してイケない。貯められるお金はとにかくためておきましょう」と、声を大にして申し上げておきたいのです。
独立開業15年目の私が言うのだから、間違いありません。