弊社で実際に行ったローカルベンチマークの診断事例を、ワンステップずつ順を追ってご紹介していきます。第2回目はローカルベンチマークの財務分析実施の様子。
第1回目の「提案から実施前まで」はこちら→ローカルベンチマーク診断事例1~提案から診断実施前まで~
実施の前のご案内
ローカルベンチマークの財務分析、実施にあたっては事前に経営者様へ以下の点を慎重にご案内しました。
- 直近二期分の決算書を見せていただくことになります。
→会社にとって決算書は成績表みたいなもの。外部の第三者に気軽に見せるようなものではありませんから、診断する際にその場でいきなり「決算書見せてください」と要求したら、見せてもらえない恐れがあるだけでなく、分析そのものを断られる恐れもあります。そこで、事前にこのご案内をしてご了承を頂いておいた、というわけです。 - デリケートな話をしますから、そのつもりでご用意ください。
→決算書を見ながら、場合によっては決算数値の細かな内容を伺ったりすることがあります。従業員さんに聞かれては困るような話も出るかも知れませんから、そういうことを事前にご承知いただき、会議室とか社長室とか、あるいは社内にそういうスペースがない場合にはどこか落ち着いてお話できる場をセッティングしましょう、というご案内をしておきました。
財務分析実施
まず最初に行ったのは、数値の確認です。ローカルベンチマークツール(実際のツールはExcelブックです)を用意したノートPCへ立ち上げておき、見せていただいた決算書類から、必要な数値を転記する作業。
この作業は5分ほどで完了しました。なんてったって、決算書から数値を転記してくるだけの単純作業。
出来上がった数値入力シートがコレ。(内容は、実際の数値入力画面をコピーしてきています。診断させていただいた会社の経営者様にご了承をいただき、社名などを伏せて掲載させていただいております)
財務分析結果
上記の入力シートが入力し終えると、自動で財務分析結果が表示されますので、これを経営者様へご提示し「数値だけから見る分析結果はこういう感じです」とお話しました。
このシートのグラフは「3」が同業種の業界標準値なので、単純に数値から計算しただけの結果で言うと、売上持続性とか健全性の部分に課題がありそうな感じがします。
ただし、このことをストレートに経営者様へ言ってしまうと、その発言から「良い」とか「悪い」という解釈をされてしまう恐れがあるので、ここではそういう発言はしませんでした。(ローカルベンチマークの財務分析は、業界標準に比べて「良い」とか「悪い」ということを評価するために行うものでは全くありませんので、そこで短絡的に良い悪いの価値判断をされてしまうのは、診断全体の方向を見誤ってしまう恐れがあるからです)
財務分析の診断作業は全部で20分で終えました
転記の時間5分程度も含めて、財務分析の診断作業は20分ほどで終えました。
専門家の方によっては、この部分にとても多くの時間をかけて細かくお話する方も多いようですが、弊社の場合はこの部分にはそれほど多くの時間を割かないようにしています。それには理由があります。それは、
数値の集計・転記だけでは真の企業の姿は判断・評価できない
からです。
企業の業績を表す「数値」というのは、多様な現実や1年間の毎日の業務や作業を定量的に捉えるために分かりやすく数字にまとめただけのものです。その数値だけを見て企業の真の姿を見抜くことはできません。数値には、それを根拠付ける「現実の作業や日常の業務」があるわけで、それらを有機的に数値と結び付けなければ、ローカルベンチマークを実施する意味がありません。
ということで、この企業様の場合も、20分ほどで数値から見た経営上の特徴や課題をざっと見渡し、非財務分析へ進むことにさせていただきました。
次回(第3回)は、非財務分析の様子をご紹介します。
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