キャッシュレス消費者還元事業終了と今後

2020年6月30日で国の「キャッシュレス決済消費者還元事業」が終了になります。昨年鳴り物入りでスタートした消費者還元事業の終了に伴い、事業者としては今後何をどうしたら良いのでしょうか?取り敢えず現時点で弊社から出来る解説・アドバイスを掲載させていただきます。

終了の手続きを確実に

筆者(岸本)が実業務で事業者様へご案内やヒアリングをさせていただいたところ、かなりの割合の事業者様が「消費者還元事業、延長されるかもしれないから動向を伺っていた」とおっしゃいました・・・が国からも正式決定で「6月30日で終了です」とアナウンスされています。
消費者還元事業に参加されていた事業者・商店主様は、終了時の手続きを忘れないようにしておきましょう。やっておかなければならないのは

  • 消費者還元事業のポスター等を撤去する
  • カード決済の案内の際の「5%還元」のようなPOPや店内告知を撤去する
  • 7月以降は5%還元されないことをなるべく明確にお客様にお伝えする

ことです。事務的な手続きは、「キャッシュレス決済事業者を変更しないのであれば」、特に何もする必要はありません。

消費者還元終了後の手数料は?

2020年7月1日以降は、各決済事業者とも消費者還元事業の際の決済手数料の還元がなくなります。弊社で実際に使用しているキャッシュレス決済会社の手数料は以下の通り。

決済事業者 手数料 備考
PayPay 0% 2021年9月まで。振込手数料は別途
Airペイ 3.24%(JCB・DinersClubなどは3.74%) 振込手数料は無料
Square 3.25~3.95%(カードの種類等条件によって異なる)

このほかの決済事業者については、それぞれ公式サイト等でご確認ください。Google検索などで「メルペイ 手数料」などのように検索すると情報が出てきます。

手数料引き上げにどう対応すれば良い?

一部を除いて決済事業者の手数料は7月以降引き上げられます(というよりは、昨年8月以前の手数料に戻るという方が正確です)。つまり事業主様にとっては「キャッシュレス決済で差し引かれる手数料が高くなる」=「手元に入るお金が減る」ということになります。これに対してどう対処していけば良いでしょう?一概に「こうしておけばOK」的なノウハウというのはありませんが、幾つか考えられる案を掲載しておきます。

現状のまま行く

数年前より弊社では「キャッシュレス決済の導入は、決済手数料の負担に見合うだけの付加価値・利益の高い商売へ移行する絶好のチャンスだ」とお伝えしてきました。この消費者還元事業の期間中にそういった「収益率・付加価値・利便性」などを見直してご商売を上手くキャッシュレス決済に対応させることのできた事業主様・商店主様であれば、1%~2%弱の手数料引き上げのために、ここで慌てて決済システムや決済事業者を見直すべきではありません。(そうならないために、支払い方法を増やしただけでなく商売の質を高めてきたわけですから、ね)

これに当てはまる方は、キャッシュレス決済のことよりも、今後の集客・ご商売の本筋を一生懸命考えられることに時間を費やすのが良いかと思います。

決済事業者をひとつに絞る

キャッシュレス決済を導入されて消費者還元の恩恵を受けてはいたものの、正直手数料はキツかった、利益を上乗せするのはなかなか出来なかった・・・という事業主様は少なからずいらっしゃると思います。そういう場合、複数のキャッシュレス決済に登録されているのなら、これを機会にひとつに絞り込むのも一つの方法です。複数の決済事業者と契約してキャッシュレス決済を運用していると、お客様の利用窓口は増えるものの「決済事業者ごとにひとつひとつ振込手数料などが差し引かれて、結構な金額が差し引かれてしまう」ことになります。

キャッシュレス決済をやめるのはもったいない、けど手数料はやっぱり負担が大きい、という場合は、決済事業者を一本化するのも方法の一つです。

いっそのことキャッシュレス決済をやめる

筆者は以前から「キャッシュレス決済、絶対に導入すべきだ」と強くお勧めして来てはいますが、そうは言っても、どうしてもキャッシュレス決済にはなじまないご商売や事業があるのも事実です。

やってはみたけれど全然使われない、たまに使ってもらうと操作が分からないしストレスは溜まるし・・・と、商売そのものの大きな阻害要因になっているようであれば、いっそのことキャッシュレス決済をやめるというのも選択肢の一つです。キャッシュレス決済はそこだけ考えれば「単なる支払い方法のひとつ」でしかありませんので、商売との連動・集客やアピールでの訴求などと連携させて運用していくメリットが全く感じられないようであれば、手数料を支払うのはムダとも言えます。

個人的にはあまりオススメしませんが、思い切ってやめる、という決断も、時には必要かもしれませんね。

ただし、くれぐれも誤解のないように・・・上記のご提案はあくまで「参考までに」というお話です。それぞれ個別のご商売の事情やお客様との関係など状況によって取るべき対応は異なると思います。くれぐれも短絡的にお考えにならないようにご留意ください。

マイナポイント事業にはどう対応すれば良い?

消費者還元事業の終了後にスタートするのが「マイナポイント事業」というキャッシュレス決済促進施策ですね。これには事業主はどう対応していけばよいのでしょうか?

基本的にお客様と決済事業者間でのやり取り

マイナポイント事業はとにかく仕組みがややこしくてわかりにくいのですが、事業主(商店主)の目線で言うと、取り立ててなにか手続きをとっておく必要はありません。

図のように、お客様がキャッシュレスで払った時に、あとからそのお客様にポイントが付与されるだけのことで、今回は支払手数料が軽減されるなどの事業主と決済事業者の間でのやり取りがありません。このため、特に事前に用意しておくべきことはないのです。

敢えて言うなら「該当キャッシュレス決済への対応」

マイナポイントでのポイント還元は、キャッシュレス決済ならなんでも良いわけではなく「予め指定されたキャッシュレス決済で支払った場合のみ」ポイントが還元されます。指定されたキャッシュレス決済とはどんな決済かというと、総務省の公式サイトで紹介されている「登録キャッシュレス決済サービス」です。

登録キャッシュレス決済サービス

なお、実際にお客様(消費者)が利用する際には、予め「マイナポイントにどのキャッシュレス決済を使うか?」を登録しておかなければなりません。その登録をどの決済にするか?はお客様の自由なので、お店側がどうこうできる話ではありません。

したがって、ここに登録されているキャッシュレス決済を全部申し込んでおこう、というような極端な対応を取る必要は、少なくとも小規模事業者さんにとっては必要ないだろうと思います。

余談ですが・・・マイナンバーカード

余談ですが、マイナポイントでの還元を受けるためにはそもそも利用者さんがマイナンバーカードを持っている必要があります。昨今のコロナウィルス禍で注目されたマイナンバーカードですが、こんなところでも持っている・持っていないで差が出てきてしまいます。

キャッシュレス決済とは直接関係ありませんが、今後国などからのサービスを受けるためにどんどん必要となるシーンが多くなると予想されますので、マイナンバーカードはぜひとも取得しておくことをおすすめします。

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