ITに詳しくなくても分かる「キャッシュレス決済」~その1~

最近いろんなところで聞くようになった「キャッシュレス決済」というキーワード。小さな会社・お店を経営する方にとっては今後避けて通れないテーマとなりそうですが、そうは言ってもナンだかよくわからない・・・そんな方向けに、「ITに詳しくなくても分かる、事業経営者にとってのキャッシュレス決済」について解説します。

キャッシュレス決済って?

「キャッシュレス」というと巷では色々取り上げられていますね。「Airペイ」「楽天ペイ」「PayPay」「LINEペイ」・・・なんだか「ペイ」さえ付けばキャッシュレス決済なのか?という感じですが^^;・・・「なんとかペイ」というサービスだけがキャッシュレス決済というわけではありません。

単に「現金での支払いではない、それ以外の支払い方法」と理解すれば「クレジットカード支払」もキャッシュレスですし、「プリペイドカードや商品券での支払い方法」もキャッシュレス決済と言えなくもありません。
ただ、最近巷で取り上げられるいわゆる「キャッシュレス決済」というのは、スマホや電子マネーなどの先端サービスを利用した支払い方法と言う場合がほとんどなので、上記の「なんとかペイ」というやつのことを言ってるんだと理解しておけば間違いありません。

キャッシュレス決済、各サービスの違いは?

主なキャッシュレス決済サービスとその違いは以下の通り。

AirPay

リクルートが提供するキャッシュレス決済サービス。iPad(あるいはiPhone)に専用のカードリーダーを接続(無線接続)してカード決済を行うことが出来る。カードリーダーでの決済とは別にQRコードの決済にも対応している。

  • 利用する顧客側はクレジットカードやSuica、Nanacoなどの電子マネーカードで支払う。
  • 支払を受けるお店側は、カードリーダーでカードの情報を読み取り決済をする。
Airペイのキャッシュレス決済は「カードリーダー」が基本

楽天ペイ

楽天が提供するキャッシュレス決済サービス。Airペイと同じくカードリーダーでのクレジットカード決済が出来るとともに、スマホに入れた「RPay」アプリでのQRコード決済などが出来る。

  • 利用する側の顧客は、クレジットカードかあるいはスマホのアプリを表示する
  • 支払を受けるお店側は、カードならカードリーダーで決済、スマホアプリなら対応する操作をして決済をする
楽天は今後スマホアプリの決済が中心か?

LINE Pay

LINEが提供する決済サービス。基本は「LINEアプリでの決済」だが、LINEペイ専用の据え置き端末を利用した方法や、QRコードを紙で印刷しておいて読み取ってもらう方法もある。

  • 支払う顧客側は、スマホのLINE画面を提示して支払う
  • 支払を受けるお店側は、予め用意した方法(アプリ決済・据え置き端末・QRコード)のどれかで操作して決済する
LINEペイはユニークな形の据置端末も用意されている

PayPay

PayPayはYahoo(ソフトバンク)が提供するキャッシュレス決済サービス。キャッシュレス決済サービスとしては後発組のため、巻き返しにキャッシュバックのような大々的なキャンペーンを張っていて注目を浴びていますが、キャッシュバックキャンペーンそのものはごく一時的なものなのでご注意。

  • 支払う側のお客様はスマホアプリを表示して決済する(アプリ内で、予め支払い方法を指定しておくことが出来る。カード払い・プリペイド残高払い・Yahoo!マネーの3種類から選べる。
  • 支払を受ける側のお店は、予め用意するお店のQRコードを読み取ってもらい金額を入力して決済してもらう

上記以外のキャッシュレス決済

上記以外にもキャッシュレス決済サービスは色々出ていますが、概ね上記と同様の決済方法・特徴となっています。

クレジットカード決済との違い

キャッシュレス決済は、従来のクレジットカード決済と、何が違うのでしょうか?導入するお店の経営者様の立場からみた場合の違いを、以下、わかりやすく一覧表で比較してみます。

項目従来のクレジットキャッシュレス決済
決済方法カード読み取り端末端末あるいはQRコード
決済後の入金1ヶ月~長いと半年後最短翌日~1週間程度
(キャッシュレスサービスにより異なります)
手数料率約3.5%~8%約3.24%~4%
導入時の費用端末:数万~10万円程度
初期手数料:数万円
端末:実質ゼロ円
初期手数料:ほぼ全て無料
導入手続きの期間数ヶ月~半年最短2週間程度(実質1~2ヶ月)
お店から見たリスク・ハードル高い低い

どのキャッシュレス決済がイイの?

世の中の情報を追いかけていると、やれ「ペイペイは20%還元、場合によっては全額還元」とか「LINEペイは決済手数料が無料(けど期限付き)」とか、色々ありますね。これら情報ばかりを追いかけてしまうと、なんだか全部取り入れなければいけないような感じになりますけれど、実際問題、全部のサービスに対応するのはちょっとムリがありそうです。

守備範囲の広いサービスをひとつ

どのサービスでも「クレジットカードで決済」「スマホ決済」「QRコード決済」といくつかの方法に対応しています。ついでにいうと、中国人観光客の方がよく使うキャッシュレス決済にも対応してます、というサービスもあります。

実際にご自分のお店のお客様、あるいは今後取り込みたい客層などをよく考えて、対応するサービスを選ぶのが良いと思います。

導入時の勘違い・注意点

以下、弊社に寄せられるご相談でよくある勘違い・間違いを挙げておきますので、ご自分のお店でのキャッシュレス導入の際に参考にしてください。

アプリを入れれば導入できる?

キャッシュレス決済は「アプリで対応」という謳い文句やキャッチコピーを誤解してしまって、ご自分のスマホにアプリを入れて何か設定すればキャッシュレス決済が導入できると安易に思い込んでしまう方が中にはいらっしゃるようです。
実際の導入には、事前に審査が必要で、登記簿や住所の確認、銀行口座の確認などさまざまな手続きが必要です。審査と手続きには数週間~数ヶ月かかります。

POSレジと違う会社のキャッシュレスは使えない?

クラウドPOSレジに「Airレジ」を入れてしまいましたから、「楽天ペイ」は使えないですよね?というご質問をいただくことがありますが、そんな事はありません。POSレジのシステムとは全く別に、自由にキャッシュレス決済のサービスを選んで導入することが出来ます。
ただ、レジシステムとキャッシュレス決済が同じ会社の提供するものだと、事務的な処理や集計がしやすくなるというメリットはあります。

Airペイや楽天ペイでLINEペイは対応できる?

出来ません。「支払う側のお客様」はスマホに楽天ペイやLINEペイを複数入れておいて使い分けることはもちろん出来ます。

けれども、支払を受ける側のお店では、「Airペイ」を導入していれば「Airペイでの決済」、楽天ペイを導入していれば「楽天ペイ」での決済ということになり、LINEペイを導入していなければLINEペイでの支払を受けることは出来ません。

導入に補助金を使って無料に出来る?

2018年12月11日時点では、キャッシュレス決済の導入を行うための費用を出してくれるような国の補助金や助成金制度はありません。(POSレジなどの導入と混同しないようにご注意ください)

将来的に(平成31年度とか)、補助金や支援制度が出てくるかもしれませんが、今のところそういう具体的な情報はありません。

いつまでに導入するのが良い?

なるべく早く導入するのが最も賢明な選択肢です。私共の私見としては、2019年3月中には導入に取り掛かっている必要があると考えています。理由は以下の通り。

  • 消費増税(2019年10月)に向けて、さまざまな決済・経理関連の駆け込み需要が急増し、2019年4月以降の取り組みでは、専門業者やサービス会社に申し込みが急増して何ヶ月待ちというような状況になりかねない
  • キャッシュレス決済、導入したとしてもお客様や市場に「認知」されなければ意味がありません。認知されるまでには数ヶ月~長いと1年くらいかかることもあります。
  • また、導入直後はキャッシュレス決済手続きの操作や手順に不慣れで、バタバタすることも想定されますので、導入までの期間は「数ヶ月」を見込んでおくべきです

導入のご相談・ご依頼はどこへ?

弊社でもご相談・ご依頼を承っております。

  • 自社の場合、自分のお店の場合、どのサービスを導入すればよいか?
  • 導入までの手続きが分からないのでサポートして欲しい
  • 決済サービスと他の業務との連携や調整も考えたい

こういうご相談・ご質問等がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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