小さな会社に必要なITスタンダード

小さな会社や小さなお店にもITは欠かせないもの・・・とは言うけれど実際、どういう機器やシステムが必要なの?

ITのスタンダード?

このページでの解説は、弊社がこれまで取り組んできた「小さな会社・小さなお店のIT経営支援」を元にした経験則から、「小さな会社・お店ではこのくらいのIT環境が必要なんじゃないかな?」という内容をまとめたものです。全て弊社の経験則によるものですから、絶対的な根拠があるわけでも、何か第三者的・客観的な評価や審査を満たしているものでもありません。けれども実際の支援経験を元にしておりますので、小さな会社・お店の経営者様に何らかのご参考にしていただけるのでは?と思います。

パソコンは何台くらい必要?

事務スタッフの人数+1台

完全にひとりで事業を営んでいる場合は別ですが、そうでない場合、「事務作業を専門にやっているスタッフの人数+1台」必要だと考えておきましょう。書類を作る、調べる、伝票入力するなど、殆どの事務作業がパソコンで行われますので、ね。

ただし、「事務作業をパソコンの前で専門に行うわけではないスタッフ」の人数分まで含める必要はない場合が事情が変わりますので、実情に合わせて検討しましょう。

プリンタやコピー機は?

複合機(ゼロックスやキャノン、リコーなどの、レーザー複合機のことです。いわゆるコピー機のことですね)は、あると便利ですが、実際本当に必要なのか?はよく考えて検討しましょう。リース代や、1枚コピーするたびにかかるチャージ代ってばかになりません。業種や作業内容によっては、数万円程度のインクジェットプリンタで十分!、なんていう場合もあります。

必要なソフトウェアってどんなもの?

ここから先は、特に経営者や実質的なIT担当者にお読みいただきたい部分です。

Officeソフトは必須

MicrosoftOfficeのことです。Word・Excelはもちろん、業種や業務によってはPowerpointやOutlookなども必要になりまっすね。これらOfficeソフトはやはり必須です。
パソコンを新たに購入するときに、パソコンに付随するMicrosoftOfficeを購入される方も多いようですが、これだとパソコンを買い換えるたびにOfficeを買い替え・買い足しする必要がありますので不経済ですね。パソコンを3台以上利用している会社・お店であれば、どこかのタイミングでOffice365などへ切り替えられると、コスト的にも管理上の効率的にも良いと思います。

セキュリティソフトも絶対に入れましょう

パソコンの台数分だけセキュリティソフトのライセンスを用意してインストールしておくのは最低限やっておきましょう。セキュリティの対策を全くしていないパソコンを使うというのは絶対にやめましょう。

住所録・顧客管理ソフト

お客様の名前や住所・連絡先を管理するためのソフトも必要ですから検討して用意しましょう。Excelなどで顧客名簿を管理するという場合もありますが、Excelだと、例えば「年賀状」や「案内状」などの宛名書きのときに不便なことが多く、結果的に年賀状ソフトなどを使う羽目になることが多いようです。

弊社では、小さな会社・お店の顧客および取引先の住所録管理には、年賀状ソフトの「筆まめ」をオススメしています。使い勝手も良いですし、値段も数千円と、小さな会社やお店にはちょうどよい住所録管理ソフトですね。

写真編集・デザインソフト

ちょっとしたチラシや案内状を作るとか、あるいはホームページやブログに掲載するちょっとした写真やイラストのデータを編集する、というような、「ちょっとしたデザイン」というのは、小さな会社やお店の場合本当によく発生します。こういうソフトになると小さな会社では事務担当の方が独自に好きなソフトやたまたま知ったソフトを使うという場合が多いようですが、会社として「このソフトを使うことにしよう」と決めておくと、人によって違うとか、データがたくさんになってきたときに統一性がないというような問題を回避できます。

弊社でオススメしている写真編集やデザインソフト、画像管理ソフトはいくつかありますが主なものは以下のとおりです。

  • Picassa3(Googleの提供する写真管理ソフトで、今は開発停止となりましたが最終バージョンのソフトをインストールして使うということは今でも可能です。写真の管理やちょっとした編集に非常に便利です)
  • PhotoScape(様々な画像編集や管理ができる、フリーのソフトです。使い勝手がよく、小さな事務所ではよく使われているようです)
  • PhotoShop・・・PhotoshopはAdobeの写真加工ソフトです。かなり専門的な編集ができるソフトなので、本格的な写真加工やデザインをする必要がある会社では導入検討されると良いでしょう(ただ、お値段もそれなりにします)
  • PaintShop・・・こちらはCorelという会社の写真加工ソフトです。Photoshopに比べて比較的安価ですが、機能としては十分な機能を備えています。

会計・経理ソフト

これは、決算をお願いしている税理士事務所さんがある場合、その税理士さんのおすすめする会計システムに大きく影響しますので、税理士さんとよく相談して決められるのが良いと思います。

販売管理・請求書作成など

伝票を出す、見積書や納品書や請求書を作る、などのソフトも必要になる場合があります。見積書や納品書などを体系的に管理するほど高度なシステムでなくて良い場合は、Excelなどで代用できることもあります。

ただ、「会社の売上やお客様との取引など、経営成果を俯瞰して見る」という観点から言うと、販売管理や請求書作成のシステムをきちんと導入して置くことはやはり必要だと思います。
小さな会社の場合はそれほど大掛かりで高価なシステムでなくて良いと思います。数万円~10万円程度のものでも十分活用できる場合が多いので、専門家と相談してよく検討しましょう。

ちなみに販売管理ソフト、会計システムと連動できたりすると非常に作業が効率化します。税理士事務所さんがおすすめする販売管理ソフトなどが本当に御社の作業にマッチするのであれば、そういう会計システムと連動するソフトを導入することも検討の余地がありますね。

その他

  • PDFファイルを閲覧するソフト・および編集や追記ができるソフト(特に編集・追記機能のあるソフトはいろいろなシーンで役に立ちます。
  • ラベルやシールを作成するソフト・・・事務用品やファイリングなどに必要なラベルを作成するソフトやその代用品があると結構便利です(代用品:Excelとか、筆まめなどの年賀状デザインソフトで代用できる場合もあります)

社内ネットワーク(LAN)

社内LANは小さくても必要

殆どの場合、会社の事務用パソコンはインターネットにつながっています。で、今どきのインターネットは殆ど「パソコンとネット接続装置をLANケーブルでつなげる」方式です。せっかくLANに繋いであるのなら、そのネットワークを利用しない手はありません。

  • 複数のパソコンでプリンタ1台を共有する
  • 複数のパソコンでデータを共有する

など、様々な用途が考えられます。特に「同じひな形データを複数の社員で共有して使う」というような場合にはLANでつながってある共有フォルダを有効活用するのがとても便利です。

無線LANは用途に応じて

同じ社内LANでも無線LAN(Wi-Fi)は、どうしても必要というわけではないと思いいます。必要に応じて導入することを考えましょう。

有線のLANに比べて一般的に通信速度が落ちると言われていますので、その点も考慮すると判断しやすくなりますね。

また無線LANの場合、良く管理しておかないとどういう端末がWi-Fiを通じてネットワークに接続されているか目に見えないため、思わぬ情報漏えいなどのトラブルを起こしてしまう危険性も高くなります。セキュリティにはくれぐれもご注意を。

モバイルデバイス

スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイスは今や業務の効率化や精度アップにとても貢献するようなってきていますので、小さな会社こそ導入・活用は考えるべきです。

ただ、昨今の風潮を見聞きしていると「モバイル導入ありき」でモノを考えている方も少なくないようです。ITの導入や活用は、どんなものであれ「経営上の成果に貢献するかどうか?」が価値判断の基準です。流行りや何となくで安易に導入せず、十分効果を検討して導入するようにしましょう。

全般に言えること

さて、いかがでしたでしょうか?ざっと概観だけ解説いたしましたが、ここに書いてあること全てをこの通りにする必要はありません。あなたの会社・お店に必要な部分を必要なだけ参考にしていただければと思います。

ただ、小さな会社・お店のIT導入・活用については、全般的に「参考になる事例紹介や基準が乏しい」のが現状です。

雑誌やWebサイトの参考記事は「中小」といっても従業員数十人~100人規模、売上数十億という会社のことを想定している場合が多く、「数人で切り盛りしている会社」のことを具体的に取り上げている記事や支援事例はとても限られています。

そこで、今後弊社Webサイトでは、こうした「小さな会社・小さなお店」でのIT導入や活用について、個別具体的な手法やノウハウをご紹介していこうと思います。