Excelでは一つ一つのセルに「A1」とか「E5」というような縦横の位置情報で表した固有の番地が付けられています。これらの「セルの番地」を利用して計算や関数などを実現しています。ところでセルにはこの「番地」以外にも「名前をつけて利用する」という方法があることをご存知でしょうか?
セルに何故名前を?
例えば図のような表を想定しながら考えて下さい。
表のH4セル(H4とI5セルを結合してありますが)は、隣の15,000円に対して5%の消費税をかけた値になるように計算式を入れてあります(このサンプル図を作成したのが消費税5%の時代でしたので、消費税率が古いのはご勘弁下さいm(_ _)m)。
これを計算させるためには、上記の表の場合、計算式が2つ考えられます。
- =F4*0.05 ・・・F4セルに対して5%にあたる0.05をかける
- =F4*O3/100・・・O3セルに「5」と入力してあるのでこれを100で割る
1は最も基本的な方法ですが、これだと5%が8%になった時に(実際にはその後更に10%になりますね^^;)、計算式の中の0.05という数字を見つけ出して「0.08」へ書き換えなければなりません。
けれども2の方法なら、もし消費税率が変更になったらO3セルの5という数字を8に入力し直すだけで済みます。
これが、セルの番地を使った計算式の便利なところですね・・・ん?それならこれで万事解決じゃないか、ナンで「セルに番地以外の名前を付ける」なんていう話になるんだ?と思われる方も多いかと思いますが・・・
これ、消費税率が変わるんじゃなくて、将来的にこのシートのレイアウトそのものが変わっちゃうなんて言うことがあったらどうします?H4セルには「F4*O3/100」という計算式が入ってるんです。それが将来的に、レイアウトが変わって「消費税率を入力しておくセルがP3セルとかO4セルに変更になっちゃったら?・・・1.の時と同じことになってしまいますね。つまり「O3」と書かれた部分を見つけ出して「P3」とか「O4」と書き換えなければならなくなってしまうんです。
けれどもそんな時に便利なのが「セルに名前を付けておく」という方法。
セルに名前を付けるとこうなる
例えば「O3セル」に「消費税率」という名前を付けたとしましょう。するとシートの計算式は図のように書くことが出来るようになります。
これは実際どうなっているかと言うと・・・
O3セルを選んでよく見ると、左上のセル番地のところに「消費税率」と表示されていますね。ここは本来(セルに名前がついていなければ)「O3」と出るはずなのですが、図のExcelファイルの場合「O3」セルに「消費税率」という名前を付けてあるためにこういう表示になります。
するとどうなるかというと・・・計算式が
F4*消費税率/100
という風に書くことが出来るようになります。
セルを移動しても計算式が成立する
上記のように名前を付けて何が良いか?というと、例えば図示したシートのレイアウトを変更する必要が生じて、例えば列を一つ挿入したとか、行を一つ挿入したとか、あるいはセルを削除してレイアウトが一つズレた、というような場合でも計算式が崩れる事がない、という利点があります。
「消費税率」という名前の付いたセルを探して計算処理を行いますので、消費税率という名前のセルがO3からP3とかO4に変わっても、そのまま計算式を変えずに運用できる、というわけです。
セルの名前の付け方
- まず図のように名前を付けたいセルをマウスで選択します(O3セルを選択しています)
- その状態で、数式バーの左側にあるセル名が表示されている欄(初期の状態では「O3」のようにセル番地が表示されています)に、キーボードで文字入力する要領で「消費税率」と入力し、最後にEnterキーを押します。
これでセルの名前付けは完了。
こうしておいて、「=F4*消費税率/100」と数式を入力すれば、消費税率セルに入力された数値を元に計算してもらえるようになる、というわけです。
ちなみに、セルの名前を「消費税率」と付けたとしても、元々のセル番地「O3」で計算式を作っても問題なく計算されます。
「セルに名前を付ける」ワザ、覚えておくと、ちょっと複雑な計算式を書いたりする際に便利に使えますよ。
注意
ただし、セルに名前を付けて運用する場合、名前の付け方のルールがあったり、シートをまたいで別シートのセルを参照する場合などに注意が必要です。また、付けた名前を変更する際には、手順を踏んで変更(あるいは名前を削除)する必要があります。これらについてはまた別の機会に解説させていただきます。
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