V字回復の本当のところ

「V字回復を成し遂げました」というような話を聞いたことは、熱心な経営者さんなら一度はあると思います。それ、何となく都合の良いイメージで捉えていませんか?巷の「コンサルタント」さんが絶対に言わない「V字回復の本当のところ」を解説します。

V字の底からいきなりV字回復はない

よく「御社の業績をV字回復する支援を致します」というような謳い方のコンサルタントさんたちが図のようなグラフを持ち出してきてこう言います。「今御社の状態はここ(図のVの一番底の部分)です。ここから回復出来るよう全力で支援します」と・・・

けれども、そんな都合の良い話はめったにあるものじゃありません。少し冷静に考えれば分かることです。

風邪やインフルエンザのような人の病気に例えて言うと分かるかもしれません。病気が発症してだいぶたってひどくなってから薬を飲んだり注射を打ったりしても、瞬時に病状が良くなるわけではありませんね。

少なくとも数時間、あるいは半日~数日かけて病状が安定しその後回復に向かうのであって、もし万が一、薬や注射などの対処が効き始める前に体力や免疫力が持ちこたえられなければ、最悪の場合亡くなってしまうことだってありえます。

V字回復は「何年も前から」の成果

会社の経営も同じで、コンサルタントのような外部の専門家が「たちどころに経営を上向かせるような魔法のノウハウ」を持っているなんて言うことは絶対にありません

私の知る限り、V字回復に成功した企業・商店のほとんど全ては、「何年も前からの取り組み」が数年後にやっと実を結んで回復の兆しが見えてきた、というものをあとから振り返った時にV字になっていたというものです。

回復に向けた改善・対策の取り組みは、スタート直後は経営状態に大きなインパクトを与えられることは少なく、大抵の場合対策を始めても相変わらず徐々に徐々に右肩下がりになるのです。

そこで「成果が出ない」と短期的な視点で成果を焦り取り組みを諦めてしまったり別の手法に乗り換えてしまったりすれば・・・?もうその先は言わずもがな、ですね。

まだ体力のあるうちに「対策」を

ここまでのお話のように、会社・事業の経営は成績が傾いてきてもういよいよ「ヤバい」ということになってから慌てて何かをし始めても意味がありません。

少し成績が落ちてきているけど、まあ今ならまだすぐにダメになるってことはないかな~~?というときが対策を打つギリギリのタイミング

そういう「まだ体力の残されている間」に対策・次の一手を講じられることを、弊社としては強くおすすめします。V字回復は、その手を打った数年後に少しずつ始まるものだとお考えください。

 

Print Friendly, PDF & Email