フリーランスミュージシャンのためのインボイス対策~6~

フリーランスのミュージシャン向け「インボイス制度対策」その6です。このページではいよいよ「どうすればよいのか?」の説明に入ります。・・・と言っても、選択肢は「対応する」か「対応しない(見合わせる)」か、どちらかなんですけど、ね^^;

(6)フリーランスミュージシャンのインボイス対応:選択肢1

インボイス制度に対応して色々整える

とりあえず筆者の立場的にも、最初に「まっとうな手続きでインボイス制度へ対応する」という選択肢を書かせていただこうと思います(国も、この選択肢を一番求めているので^^;)。

(5)-1.適格請求書発行事業者番号を取得する

いきなりものすごく長い面倒くさい名前のものですが、要するに「オレ(私)は確定申告したあとに、ちゃんと預かった消費税を国へ納付しますよ」という認定をしてもらうための番号です。最寄りの(毎年確定申告する)税務署へ行って「インボイス制度対応の適格請求書発行事業者番号を取りたいです」と申請すれば発行してもらえます。

(5)-2.番号を取引(付き合い)のある相手へ伝える

番号を発行してもらえたら、付き合いのあるライブハウスとか、レコード会社とか、あるいは音楽教室などで講師をしている場合にはその音楽教室などへ「番号を取得した」ことと「その番号」を伝えましょう。

※場合によっては、「今後あなたに支払うギャラや講師料は、お支払するときにあなたのほうから請求書を発行してください、それをもとに振り込みます」みたいなことを言われることもあるかもしれません。その場合には、パソコンなどで請求書を作って、その請求書にこの「適格請求書発行事業者番号」を記載するようにしてください。

※なお、請求書を発行する場合には、インボイス制度のルールに従った請求書の作成が必須になります(←これが案外面倒くさいので^^;)・・・そのあたりの話は、こちらをご確認ください→「免税業者が課税業者になってインボイス制度対応するには?」

(7)フリーランスミュージシャンのインボイス対応:選択肢2

インボイス対応はせずに様子を見る(先延ばしにする)・・・対応しなきゃならなそうになったら速攻で対応する

杓子定規に「インボイス対応する」などとやらずに、とりあえず様子見してみるという手です。インボイス制度に対応するのは、上記の「免税業者が課税業者になってインボイス制度に対応する」の記事をご覧いただければ分かるように、かなり面倒くさい(&ハードルの高い)対処方法です。

かと言って「インボイス対応しない」と決め込んでしまうと、「インボイス対応しなかったらどうなるのか?」の記事のようにリスクが高くて大変そうです。

要は、あなた(フリーランスのミュージシャン)にお金を支払ってくれるライブハウスや音楽制作会社がインボイス対応を求めるか求めないか?によってあなたの対応が変わってくるわけですから、とりあえずそれがハッキリするまでは面倒くさい対応を先延ばしにする、という手もアリです。(ただし、インボイス制度対応のための「課税業者への転向」は2023年3月31日が期限ですので、それまでに「対応する」か「対応しないままで行く」にするか?を決めなければなりません)

なお、インボイス対応しない場合にはどんなことになるか?についてはこちらのページをお読みください→「インボイス対応しないとどうなるか?

(8)インボイス対応でやらなければならない「もうひとつのこと」

インボイス制度対応のために「課税業者になる(=適格請求書発行事業者の番号を取得する)」場合に、番号を取得する・相手へ伝える以外に「もうひとつやらなければならないこと」があります。

それは、「ギャラや報酬を受け取る側」でなく、今度は「経費を支払う(あるいは他のミュージシャンにあなたがギャラを支払う)」という場合の対策です。インボイス制度でギャラを支払う側の事情が変わる、のページでご説明したように、経費としてお金を支払う側になった場合には、「支払う相手がホントに消費税を納付するかどうか?」を確認しておかなければなりません。

端的に言うと経費支払う際に「あなた(あるいはあなたの会社)は、私が払った消費税をちゃんと国に納付しますか?」とその都度確認すればいい話なのですが・・・毎回毎回経費を払うたびにこんな事を確認するのも煩わしいし、そもそもそんなこと聞けないという状況だってあるだろうと思います。そういう場合に「適格請求書発行事業者番号」がモノを言います。
領収書や請求書に「適格請求書発行事業者番号」が記載されていなければ、その請求書であなたが支払う相手は「消費税を納付せずに自分の懐の中へ入れてしまう」ことになりますから、あなた(ミュージシャン)は、消費税を払ったのにもかかわらず、確定申告のあとにもう一度その消費税分を支払わなければならなくなります。

まずこの事をよく知っておいてください。そのうえで・・・この部分(経費を支払う場合にやらなきゃならないこと)については、説明も長くなりますので「インボイス制度対応のための会計・経理作業」のページで解説させていただきます。


さて、大変長い解説記事として掲載させていただきました「フリーランスミュージシャンの為のインボイス対策」ですが、いったんここで掲載終了とさせていただきます。ここまでの解説で「インボイス対応のために課税事業者となって会計や経理をちゃんとやっていこう」と考えた方は、解説記事中でもご紹介している「免税業者が課税業者になってインボイス制度に対応するには」「インボイス制度対応のための会計・経理作業」などの記事を参考に、事業・ご商売・ビジネスの会計処理の体制を整えるようにしてください。

なお、インボイス対応の解説やアドバイスについては、弊社メールマガジンおよびこのサイト上の記事で引き続きご案内させていただきます。