ステップアップためのIT利活用・デジタル化

なんとなく禅問答のようなブログ投稿となりますが・・・弊社としては「非常に大切なこと」として認識していることです。

IT導入活用・デジタル化に「ゴール」はない

弊社では、小さな会社・小さなお店(小規模事業者)の、業務や作業のIT化・効率化・デジタル化を通じて商売繁盛の支援をしています。
この事業をかれこれ20年やっていて実感することは「IT導入・活用やデジタル化」という取り組みは「ここまでやったらOK、はい完了」というゴールはない、ということ。

時代とともにITやデジタルという技術基盤もどんどん進化しますので、ある時点で「最新の環境にした」としても、数年経てば古くなってまた進化に対応しなければなりません。
・・・と、こういう事を書くと「なんだキリがないじゃないか、それじゃずっと無駄なカネと労力ばかりかかるから、やめちまおう」と考える方も少なからずいらっしゃるかもしれませんが・・・

弊社としては全く逆の認識をしています。

「ゴールがない」「はいコレで完了」がないからこそ、継続的にずっと取り組めるような環境・体制・習慣を作っていくことこそが、本当のデジタル化だ。

「ここまで来たら一気にすすむ」というチェックポイントはある

弊社は、支援実務を元にした経験則から、「小さな会社、小さなお店でのIT化・デジタル化は、こういう部分をクリアしたらその後は一気に加速してレベルアップする」という、いわば「ターニングポイント」というか「チェックポイント」というものがあることを認識しています。

2004年にITコーディネータというIT経営支援の専門資格を取得した際にさんざん研修や実地で学んだ「ITCプロセスガイドライン」を元に、この20年間で350件ほどの「小規模事業者へのIT利活用支援」を行ってきました。

支援先は、製造業・飲食業・建築業・小売業・旅館業・サービス業・専門業種・歯医者さん・目医者さん・卸売業・・・実に様々で、規模も売上も千差万別なのですが・・・「ITを活用して、経営の役に立てたい。商売繁盛の原動力にしたい」というご相談への対応・支援の過程で、ある共通点があることに気づきました。それが

「いくつかの条件(ポイント)をきちんとクリアした事業主・企業は、その後一気にIT活用や、活用を通じた効率化・経営力強化が進む」

ということです。もちろんコレは、支援をする私どもがナニかをするというよりは、当事者である事業主さま・企業ご自身が積極的・自発的に取り組んで、課題やポイントを認識してクリアした、というところが重要です。そして、その後の成長(あるいは経営状況の回復・改善)の効果は、これらの取り組み度合いにハッキリと比例して表れる、ということ。

じゃあ、そのチェックポイントって、何なの?と、知りたい方も多いだろうと思います・・・あくまで弊社の経験則を根拠としたものなので、いつでもどこでも、誰でもコレが当てはまるか?と言われればそんな保証はできませんが・・・^^;

チェックポイント

1.経営者自らが「自社の業務・作業」を徹底的に理解できているか?

「経営を立て直すぞ!」「IT化やデジタル化に取り組んで効率化を実現するぞ!」と旗を振る事業主様・経営者様は非常に多いです(弊社ではそういうご相談を受けているわけですから、ここは100%)。けれども、その「経営の立て直し」「IT化・デジタル化」の第一歩が「現場の、手を動かし体を動かし、頭で考えて作業をする」ことにあるということを身をもって理解できている方、というのは案外少ないようです。

特に中小・小規模事業者の場合、トップである経営者が現場のことに手をかけず「事務やITのことは全部現場の担当に任せてあるから」と「任せること」を「現場を見聞きして理解しようとしないこと」の言い訳にしているスタンスのままだと、実際には社内・店内のデジタル化は1ミリも進みません。

2.「定義」をする習慣があるか?

同じ会社の中で、何となく出来上がっている手順や暗黙のルールで漫然と業務をこなしていると、ムダ・ムリ・ムラに気づかないまま、ワケの分からないIT導入だけが進んでしまいます。
ITだけ独り歩きして肝心の業務効率化や経営力アップが全然進まない・・・という場合の殆どが、「そもそも、ウチのこの業務って、誰がナニをどうやることになってるの?」ということが決まっていないという問題が根底にあります。

これは、実際にはほんの些細な言葉の定義や作業のルールを、ひとつひとつキチンと取り決めて、そのルールを社内でちゃんと守りましょう、という習慣があるかどうか?ということがクリアのポイントになります。

例えば、ホントのホントに些細なことですが・・・「ウチの会社の場合、”顧客”と”得意先”っていうのは、ナニが違うの?それとも全く同じ意味で使ってるの?」「ウチのお店の場合、欠品商品チェックって、誰がいつナニをするってことなの?」・・・などなど

「そんなどーでもイイようなこと、どっちでもイイじゃん」「そんなの、店で業務してりゃ誰だって分かるじゃん、今さら言うな」・・・ということなかれ。実際、こういう事をひとつひとつ、積み重ねるようにして取り決めていったお店や会社は、実に効果的にIT導入や効率化を実現しています。

3.チャレンジ→ルーチンへの流れができているか?

新しいことにチャレンジ(今までやっていなかったことに新たに取り組む)するときには、それがどんな内容でもかなり多くの労力や時間を費やします。けれどもチャレンジができなければその次はありませんから、「チャレンジする」ことはもう「成長」「IT活用の成果を出す」ことの大前提です。

その上で「チャレンジを初めてしばらく経ったら、それが当たり前になってルーチンワークになる」という、そういう流れで作業やルールや手順をどんどん変えていく習慣が培われているかどうか?

この「流れ」のような習慣は、いきなり出来上がるものではありません。小さなITチャレンジ(あるいはIT以外の分野でもチャレンジ)を積み重ねながら、現状を改善していこうというのを「当たり前」に受け入れられるようになるか?というものなので、そういう習慣や考えが全くない事業主さま・事業所さまの場合、かなり真剣に取り組まれても数年単位での時間がかかるかと思います。(弊社の経験では、最短でも数ヶ月~半年は要しました)

・・・と、代表的なもの&どんな事業所にも当てはまりそうなものを列挙させていただきましたが、実際の支援やサポートの現場では、この他にも様々な「こういうところをクリアできると、この事業所さんは一気に成長するんだよなあ、きっと」というポイントが多々あります。

少し抽象的な解説になってしまいましたが、これからウチの会社・ウチの商売を成長させていこう、とお考えの方、ぜひこんなポイントでご自分の事業所・会社・お店を見つめ直してみてはいかがでしょうか?

個別支援でのチェックポイント作成

なお、個別具体的な事業主様・事業所様への支援などの際には、より具体的で「クリアできたかどうかが明確」なポイントを作成してチェックしていただくようにしています。

支援・アドバイスをご希望の方はどうぞお気軽にお問い合わせ下さい(→お問い合わせ