最近何かと話題の仮想通貨。あれってナンなのよ?ととにかく仮想通貨とかビットコインていうのが分からない、という方のために解説記事に挑戦してみました。
仮想通貨って?
インターネットの世界で使えるお金のことです・・・と言うといきなりちんぷんかんぷんで拒絶反応な方が多いかと思いますが・・・現実の通貨と比較して考えると分かりやすいかもしれません。
日本円って?米ドルって?
日本人に一番馴染みの深い通過「円」は、もちろん日本国内で使うことの出来るお金のことです。(例外的に日本国外でも日本円が使える場所もあるようですが、そういう例外はこの際さておき)。
米ドルも日本円と同じで「アメリカ国内で使うことのできるお金」です。(こちらはアメリカ以外の国でも使える事はありますが、まあとにかく「ある限られた国・範囲」の中で使える」という意味です)
じゃあ、仮想通貨(ビットコインとか)はナンなのかというと、「仮想世界(≒インターネットの世界)の中で使うことの出来るお金」というわけですね。
日本からアメリカへ行って買い物をする場合
日本からアメリカへ旅行や出張などで移動して、アメリカ国内で買い物をする場合、日本円を持っていってアメリカ国内のお店で1万円札出しても、たいてい支払いは出来ません(例外的なのはこの際無視して、ね^^)。
逆の場合もそうですね。アメリカ人観光客が田舎の温泉場で買い物をするのに100ドル紙幣出されたら、お店の人も困ると思います。
現実の通貨では、使える地理的な範囲が決まっていて、そこを踏み越えて使う場合には基本的に「銀行」という通貨を交換してくれる場所で「円→ドル」「ドル→円」のように交換(両替といいますね)して、その国で使えるお金に替えて支払うわけです。
仮想通貨も、概念的にほぼ同じです。「インターネット」という限られた世界の中へ踏み込んで通貨を使う場合には、その世界の中で使える通貨に日本円を両替する必要があります、ね。それを交換してくれるところが仮想通貨交換所、で、「円→ビットコイン」「円→NEM」のように交換するというわけです。
何を信用するか?
仮想通貨が何となく「怪しい」感じがしたり「ホントに信用できるの?」と思ってしまうというのは、私個人的には仕方のないことだと思います。
現実の通貨は殆どの場合「国」が取り仕切って流通させています。日本円は日本の政府と日銀がその流通量を決めていますし、日本円を通貨として使っている人(私も含めた大多数の日本人)は、「日本が公に認めている通貨だから」ということで日本円を普段の商品購入や支払、あるいは客先からの受取として利用しているわけです。(想像してみてください。売上金を日本円で10万円受け取っても、その1万円札10枚では何も買えない、どこへ行っても何の支払いもできない、となったら、10万円を日本円で受け取ろうとするでしょうか?私なら「日本円のお札もらっても何もならないから、100ドル紙幣で支払ってくれ」とか、そういう風になると思います。つまり、1万円札や100円玉をお金として使っているのは、日本政府・日本銀行にそれだけの信用を置いているから、ということなんですよね)
けれども、昨今特に日本以外の国では、国の発行する紙幣や貨幣に信用がなくて(例えば偽札が横行しているとか、相対価値≒レートがあまりにも乱高下するとかで)、通貨として使いたくないという人も増えています。
そこで登場するのが仮想通貨です。
仮想通貨は、国の発行する通貨のように「国の信用が前提」という事になっていません。(ここらへんが巷の仮想通貨解説者の方たちが言うブロックチェーンとか暗号化とかそういうことです)。お互いがお互いを監視し合うという仕組みで「誰かが元締めになっている」という仕組みがないために、それが逆に「元締めが信頼できないから貨幣として通用しない」というリスクを避けられるようになっている、というわけですね。
通貨になり得るのか?
仮想通貨が「ネット上で利用される」「国のような後ろ盾となる信用を根拠にしない」ということまではイメージできたとして、ではそれが「通貨」として使えるのか?今後一般的になるのか?という話になると、私(岸本)としては、今のところまだ多いに疑問符が残ります。
通貨は
- 物々交換を仲介する役割を果たす
- 希少性があり、持ち運べること
- 価値をストックするための信頼できる場所がある
という事が基本要件なんだそうです。
仮想通貨の場合、今のところ1,2はクリアできていますが・・・投機の対象になってしまっているためレートの乱高下が激しく、これでは「価値をストック」つまり安心して貯蓄のための貨幣として利用できそうにありませんね。
仮想通貨に関するトラブルは?
先日のコインチェックでの事件のように、仮想通貨の「流出」なんていう大きな事件がありましたね。この事を受けて様々な解釈・評価がされています。評価は真っ二つですね。
- こういう風にあっというまに巨額の資金が流出してしまうから仮想通貨はコワい・信頼できない
- あれは交換所・取引所の問題なのであって仮想通貨そのものが信頼できないわけではない
いったいどちらを信じれば良いんだ?・・・と戸惑われている方・素朴に疑問に思う方も多いと思いますが、こんな時には難しいことを難しく考えるのをやめて、分かりやすいことに置き換えてみれば良いんです^^。例えば、仮にこんなことを想像してみてください。
現実にある○○銀行(日本円の交換ができる機関ですね)から、あるとき突然600億円もの巨額な資金流出が発生して、何十万人という人の預金口座からあっというまに預金が消失してしまった。こんなことが5年の間に2度も起きたら・・・?
このことをもって、「だから日本円は信用できない」という結論や社会の評価には、あまりなりそうにありませんね。むしろ「日本の銀行はコワくて信用できない」という評価になるのではないでしょうか?・・・と、ここまでなら「仮想通貨が信頼できないのではなくて交換所・取引所の問題だ」という2番めの評価に納得できそうです。
けれども・・・もし上記のような事が起きて日本円の元締めである日銀と日本政府が「あれは銀行の問題なのであって日本の金融システムそのものには問題がないのだから関係ない」と責任も取らず我関せずだったら・・・?
仮想通貨の世界では結果的にそういうことになるわけです。だってそもそも「元締め」(というか、信用を担保する責任者)がいないわけですから、何か被害が起きても、全部自己責任です。(コインチェックを信用して投資するのも、冷たいようですが本人の責任においてやってるわけです。←まあ、厳密にはいちおう国から登録規制などが始まっていますから、全部自己責任というのは微妙にニュアンスが違うかもしれませんが・・・)
そうなると、1番目の評価のほうに何となくシフトしたくなりますね。
結局、自分で考えて自分で判断するしかない
少し先ほどの仮定を真剣に考えてみると、本当に日本円と日本の銀行でそんなトラブルが頻発していたら、とてもじゃないけど日本円で貯蓄とか日本円で取引なんてしたくないということになるわけです。事実、日本の国内にも「資産の管理を日本円でやるのはゴメンだ」ということで資産を別の国の銀行の通貨でストックしている人もいるのです。ほぼ大多数の人が何となく「日本が破綻して円の価値がほぼゼロになるなんてことはないだろ?きっと」と思っているから大多数の人が日本円で経済に参加しているわけですが・・・海外の経済や金融の話を聞いたり、銀行だってネットバンキングなどでのリスクがあることを考えたりすると、決して無条件に日本円を信用できるというものでもなさそうです。
それは、「仮想通貨だから」とか「円だから」という事では、どうやらなさそうですね。
通貨(お金)とは何なのか?そして信頼できる・信頼できないという基準はどこにあるのか?・・・これから将来は、こういう価値判断を「誰かが言ってるから」「みんなそう思ってるから」という曖昧な基準ではなく、自分できちんと考えて自分で基準を決めて判断していくしかなさそう、です。
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