独立・開業時にかかる「お金」の話・どのくらい用意すれば良い?~2~
サラリーマンが独立・開業したらどうなる?実体験を元にお送りする「独立・開業の解説」第一回めの続き。
このページは、「サラリーマンが独立・開業して個人事業主になる(なった)」という想定での解説をしています。折にふれて「法人設立」のことにも触れはしますが、基本「個人事業主になる」場合の解説ですので、予めご了承ください。また、学生さんや今まで働いたことがない方がいきなり個人事業主になるというケースの事は一切想定しておりませんので、その点もご理解ください。
開業時に用意すべき資金は?
独立・開業時に「事業を行うために用意すべきお金」はどのようなもので、いくらくらい必要か?・・・という話は、「スタートする事業」によって大きく異なりますから、一概には言えません。
飲食業を始めようと思えば「店舗を借りる資金」「内装などを整える資金」「厨房設備を買う資金」「顧客獲得のための宣伝やPRのための資金」などがありますし、例えば「ひとりで始めるサービス業(私のようなITサポートとか)」で店舗を持たない場合でも、「広告宣伝の初期投資」や「事務作業をするために必要となるパソコンやIT機器の購入費」などが必要になります。
想定している規模などにも大きく関わりますので「事業資金」がどのくらいの額必要なのか?は、正直に言えば「私にはわかりません」です。
けれども、確実に強くお伝えしておきたい「お金」の話があります。(第一回目の開業一年以内にかかる費用」の話とは別に、です^^)
創業後最低でも2年(理想を言えば3年)の間、「全く売上がなくて無収入」だったとしても、路頭に迷わずになんとか暮らしていける「生活資金の貯蓄」は確保しておきましょう。
じゃあ、その「生活資金の貯蓄」の額はどのくらい?
あなた(と、あなたと一緒に暮らす養うべき家族)が暮らすのに必要な1ヶ月分の金額(生活費)×24ヶ月分
これを、「イザというときに切り崩して使える貯蓄」(普通預金口座の残高でも、定期預金の残高でも構いません)として確保しておきましょう。
そんな大げさな、と決して思うなかれ
「24ヶ月分の生活費を確保してから」なんてそんな大げさな!・・・と決して思わないようにしましょう。創業してから2年間は「食えない・売れない・鳴かず飛ばず」を想定しろと言っているわけではありません。
私が体験上、こう想定する理由は
事業の運営・状況とは関係なく、数年に一度くらいのペースで必ず「想定外」の出費や生活上の危機が訪れる
私の創業は2003年ですが、その当時想定もしていなかったプライベートでの状況変化が2004年に突発的におきました。この突発のために、それ以前よりも生活上かかることになってしまいました。創業時に「このくらいの生活費があればなんとかなるだろう」と思っていたことが、たった1年ちょっとの間に「想定外」の事態になってしまったのです。
その後、みなさんも御存知の通り2008年にリーマンショックが発生してとんでもない不況に・・・これも事前に想定することはムリでした。
さらにその3年後、東日本大震災が発生します。
「起業」「創業」をお考えの方にとって、創業直前は「事業がうまく軌道に乗るか?」を気にかけることで精一杯のことだろうと思います。
それはそれで、当然のことではあるのですが、事業運営とは全く関わりのないところで、こういう「日常の暮らしの上での危機・劇的な変化」が起こって「事業計画の想定からはとっても考えられなかったこと」が起こり得るのです。
創業直後~2年目くらいまでの「想定外の出費」に備えを
事業上のトラブルや想定外であれば、「売上からもらうはずの自分の給料(生活費)」を切り崩したり、何ヶ月か無収入で必至に働けば、大抵のことは乗り越えられます。
けれども、その数ヶ月の間にも「暮らし」は進むのです・・・その「生活費」をどうするんですか?
創業直後や1年目・2年目で「仕事のことに精一杯」のときに「生活費がない・不安」っていうリスクに向き合っている精神的な余裕は、よほど胆力の強い方でなければありません。
・・・と、いうようなことが、現実に起きているからこそ、
事業上の収入や出費の想定とは関係なく「2年間は暮らせるだけの生活資金の準備をしてから」創業に踏み切るべし
なのです。
あなたの立ち上げる事業や企業が、どんなに素晴らしくてどんなに世の中の役に立つ良い事業・良い商品・サービスだったとしても、創業者のあなたが生活苦に陥って暮らしもままならなくなってしまっては、事業そのものを諦めて廃業しなければならなくなるのです。
さて、お金の話を2回連続解説しましたが、次回は「開業届を出す?出さない?」の話です。
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