「仕事だからLINE」は本当に安全?

社長になりすました詐欺が急増する今、企業が見直すべきコミュニケーション手段

最近、「社長からLINEに誘導され、多額の送金をしてしまった」というニュースを目にする機会が増えています。

メールで社長になりすまし、「急ぎなのでこちらのLINEグループへ参加してください」と社員を誘導し、その後、送金や電子ギフト券の購入などを指示する――いわゆる BEC(Business Email Compromise:ビジネスメール詐欺) の新しい手口です。

しかし、このような事件を見るたびに私が感じるのは、

「そもそも、会社の重要な業務を個人用LINEで行うこと自体に大きなリスクがある」

ということです。

今回は、小規模事業者だからこそ知っておいていただきたい「業務で個人用LINEを使う危険性」について解説します。


LINEそのものが危険なのではない

最初に誤解のないようにお伝えします。

LINEは、家族や友人とのコミュニケーションツールとしては非常に便利で優れたサービスです。

問題なのは、

「業務連絡の基盤として利用すること」

です。

仕事では、

  • 誰が送ったのか
  • 本当に本人なのか
  • 情報が会社として管理されているか

ということが非常に重要になります。

個人向けサービスであるLINEは、こうした企業利用を前提として設計されているわけではありません。


なぜ個人用LINEは危険なのか

1. 本人確認が難しい

LINEの表示名は自由に変更できます。

プロフィール画像も自由に設定できます。

そのため、

  • 社長
  • 部長
  • 取引先担当者

などを名乗ること自体は、それほど難しくありません。

実際の詐欺では、

「社長です。急ぎなのでこちらへ。」

という形で社員を誘導し、その後送金指示を出すケースが報告されています。


2. 個人アカウントと会社業務が混在する

社員の個人LINEには、

  • 家族
  • 友人
  • 趣味のグループ
  • 会社

がすべて同じ場所に存在します。

仕事とプライベートの境界が曖昧になるため、

  • 誤送信
  • 情報漏えい
  • 誤操作

などのリスクも高くなります。


3. 会社が管理できない

社員が退職しても、

その社員のLINEは会社のものではありません。

会社側では

  • データ削除
  • アカウント停止
  • ログ確認

などを行うことができません。

これは企業にとって非常に大きなリスクです。


4. 業務記録として残りにくい

重要な指示や承認をLINEだけでやり取りしていると、

後から

「言った・言わない」

の問題になりやすくなります。

業務上重要な連絡は、

  • メール
  • グループウェア
  • ビジネスチャット

など、会社が管理できる仕組みで残すことが望ましいでしょう。


「社長からLINEに来た」は本当に信用してよい?

最近増えている詐欺では、

まずメールが届きます。

「急ぎなのでこちらのLINEに参加してください。」

社員は、

「社長からだから」

と思い込み、LINEへ参加します。

その後、

  • 至急送金してください
  • 電子ギフトカードを購入してください
  • この口座へ振り込んでください

という指示が送られてきます。

「社長本人からのLINE」という思い込みが、冷静な判断を鈍らせてしまうのです。


LINE WORKSなら安全なの?

最近は、企業向けコミュニケーションツールとして「LINE WORKS」を採用する会社も増えています。

LINE WORKSは、会社がアカウントを管理できるため、

  • 社員アカウントの管理
  • 外部との通信制限
  • 退職者アカウントの停止
  • 管理者による運用

などが可能になります。

そのため、

個人用LINEよりは格段に安全です。

ただし、

どんなツールでも、人をだます詐欺を100%防げるわけではありません。

「社長から急ぎで振込依頼が来た」

という状況では、人は焦ってしまいます。

最後に人を守るのは、

会社のルールと社員一人ひとりの意識です。


小規模事業者が今日からできる対策

難しいセキュリティ対策を導入しなくても、次のようなルールを決めるだけで、多くの被害は防げます。

  • 業務連絡に個人用LINEは使わない
  • 振込や送金の依頼は、必ず別の手段で本人確認する
  • 社長からの「急ぎ」の依頼ほど、一度電話で確認する
  • 業務用のチャットツールを利用する
  • 「急ぎだから秘密にして」という指示は必ず疑う

こうしたルールを社員全員で共有しておくことが重要です。


まとめ

小規模事業者では、「社員数が少ないから大丈夫」「みんな顔見知りだから安心」と考えがちです。

しかし、詐欺師は会社の規模に関係なく、人の心理を巧みに利用してきます。

便利だからという理由だけで個人用LINEを業務に使い続けるのではなく、

「会社として管理できるコミュニケーション手段を使う」

という考え方へ切り替えることが、これからの情報セキュリティ対策では非常に重要です。

岸本ビジネスサポート株式会社では、小規模事業者の実情に合わせた情報セキュリティ対策や、業務に適したコミュニケーションツールの導入・運用についてもご相談を承っております。

「何から始めればよいかわからない」という場合も、お気軽にご相談ください。