~パソコン、ソフト、クラウドサービスを「何となく使っている」状態から抜け出すために~
皆さんの会社やお店には、現在何台のパソコンがありますか?
そのパソコンは、いつ、どこから購入したものでしょうか。
誰が使っていて、どのようなソフトが入っているでしょうか。
また、Google WorkspaceやMicrosoft 365、会計ソフト、予約システム、顧客管理、SNS、オンラインストレージなど、仕事で利用しているクラウドサービスはいくつありますか?
それぞれのサービスを、誰のメールアドレスで契約し、誰が管理者になっているでしょうか。
このように聞かれて、すぐに答えられる小規模事業者様は、それほど多くないと思います。
パソコンやスマートフォン、クラウドサービスは、日々の仕事の中で少しずつ増えていきます。
必要になったときに購入し、便利そうなサービスを契約し、従業員や外部の業者さんに設定を任せているうちに、
「何を使っているのか、正確には分からない」
という状態になってしまうことがあります。
そこで必要になるのが、IT資産台帳です。

IT資産台帳とは?
IT資産台帳とは、自社で保有・利用しているIT機器やソフトウェア、クラウドサービスなどを一覧にして管理する資料です。
「資産台帳」というと、何となく大企業が使う難しい管理システムを想像されるかもしれません。
けれども、小さな会社やお店の場合、最初から高価なIT資産管理システムを導入する必要はありません。
ExcelやGoogleスプレッドシートなどで、
ウチでは、誰が、何を、どのような目的で使っているのか
を一覧にするところから始めれば十分です。
大切なのは、立派な管理システムを導入することではありません。
自社で利用しているITの全体像を、自分たちで把握できる状態にしておくことです。
今のIT資産は、パソコンやプリンタだけではありません
以前のIT資産管理では、主に次のような機器が管理対象でした。
- デスクトップパソコン
- ノートパソコン
- プリンタ・複合機
- サーバー・NAS
- ルーター・Wi-Fi機器
- USBメモリや外付けハードディスク
もちろん、これらの機器は現在でも重要な管理対象です。
しかし、仕事でクラウドサービスを利用することが当たり前になった現在では、機器だけを一覧にしても十分とはいえません。
例えば、次のようなものもIT資産として管理する必要があります。
- Google WorkspaceやMicrosoft 365などの業務クラウド
- 会計、給与、勤怠、販売管理などの業務ソフト
- 顧客管理、予約管理、POSレジなどのサービス
- ホームページのサーバーやドメイン
- LINE公式アカウントやSNSの業務用アカウント
- オンラインストレージやデータのバックアップ先
- ソフトウェアのライセンスや月額契約
- 管理者アカウントと利用者アカウント
つまり、現在のIT資産台帳は、単なる「機械の一覧表」ではありません。
会社の仕事を支えているデジタル環境全体の見取り図と考えたほうがよいでしょう。
なぜ小規模事業者にもIT資産台帳が必要なのか?
1.故障やトラブルの際に、状況を説明できる
パソコンが故障したとき、修理業者や支援者から、
「メーカーと型番は何ですか?」
「Windowsのバージョンは何ですか?」
「いつ頃購入したものですか?」
「データはどこに保存されていますか?」
と聞かれることがあります。
こうした情報が整理されていないと、状況を確認するだけでも時間がかかります。
台帳に基本情報が記録されていれば、相談や修理、買い替えの判断をスムーズに進められます。
2.買い替え時期や更新時期を判断しやすくなる
パソコンは、壊れるまで使えばよいとは限りません。
古くなった機器や、サポートが終了したOSを使い続けると、動作が遅くなるだけでなく、セキュリティ上の問題も生じます。
購入時期や利用状況を記録しておけば、
「このパソコンはそろそろ入れ替えたほうがよい」
「こちらは利用頻度が低いので、もう少し使えそうだ」
といった判断がしやすくなります。
毎年のIT予算や設備投資の計画も立てやすくなります。
3.使っていない契約や重複した支払いを見つけられる
クラウドサービスは、月額数百円、数千円という手軽な料金で利用できるものが多くあります。
その反面、契約したことを忘れたまま料金だけを払い続けていることがあります。
また、
- 同じような機能のサービスを複数契約している
- 退職した従業員のライセンスが残っている
- 以前の業者が契約したサービスの内容が分からない
- 使っていないアカウントにも料金が発生している
といったケースもあります。
契約しているサービス、料金、更新時期、利用者を一覧にするだけでも、不要な支出を見つけられる可能性があります。
IT資産台帳はセキュリティ対策だけでなく、経費の見直しにも役立つ資料なのです。
4.退職者や外部業者のアカウントを放置しなくなる
小規模事業者では、従業員の入退社時に、パソコンやアカウントの管理が十分に行われていないことがあります。
退職した人のアカウントが残っていたり、以前依頼していた外部業者が管理者権限を持ったままになっていたりするケースです。
特に注意したいのは、
「誰が管理者なのか分からない」
という状態です。
いざ設定を変更しようとしたときに、管理者のメールアドレスもパスワードも分からない。登録されている電話番号が退職者の個人番号だった、ということも実際に起こり得ます。
どのサービスを誰が利用し、誰が管理責任を持っているのかを台帳に記録しておけば、入退社時の確認もしやすくなります。
5.セキュリティ対策の出発点になる
セキュリティ対策というと、
- ウイルス対策ソフトを入れる
- パスワードを複雑にする
- 2段階認証を設定する
- データをバックアップする
といった方法を思い浮かべる方が多いでしょう。
これらは、もちろん大切です。
しかし、その前に確認しなければならないことがあります。
それは、
そもそも、何を守るのか
ということです。
どのパソコンに重要なデータが入っているのか。
顧客情報はどのサービスで管理しているのか。
会社のメールを管理しているのは誰なのか。
データのバックアップはどこにあるのか。
これらが分からないままでは、適切なセキュリティ対策を考えることもできません。
IT資産台帳を作ることは、セキュリティ対策の土台となる「現状の把握」なのです。
「ウチは小さいから必要ない」は本当でしょうか?
「ウチはパソコンが数台しかないから、台帳なんて必要ない」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
けれども、小規模事業者だからこそ、管理している人が一人しかいない、という問題があります。
社長しか分からない。
経理担当者しか分からない。
設定した業者しか分からない。
このような状態で、その人が急に不在になったり、退職したり、業者と連絡が取れなくなったりすると、業務が止まってしまう可能性があります。
大企業なら、情報システム部門や複数の担当者が対応できます。
一方、小規模事業者では、一人の記憶や経験に頼っていることが多いため、むしろ簡単な台帳を作っておく意味が大きいのです。
最初から完璧な台帳を作る必要はありません
ここまで読むと、
「調べることが多くて大変そうだ」
「専門的な情報は分からない」
「全部調べて入力する時間がない」
と思われるかもしれません。
けれども、最初からすべてを詳しく記録する必要はありません。
まずは、現在使っているパソコンやサービスを思いつく範囲で書き出してみましょう。
パソコンや機器について記録する項目
- 機器の種類
- メーカー・製品名
- 型番
- 購入時期
- 主な利用者
- 主な用途
- 設置場所
- 現在の状態
- 保証や保守契約
- データの主な保存先
ソフトウェアやクラウドサービスについて記録する項目
- サービス名
- 利用目的
- 契約名義
- 管理者
- 主な利用者
- 月額・年額料金
- 契約更新時期
- 支払方法
- 2段階認証の有無
- 解約や問い合わせの窓口
これだけでも、自社のIT環境はかなり見えやすくなります。
なお、台帳にパスワードそのものを書き込むことはおすすめしません。
パスワードはパスワード管理ツールなどで安全に管理し、台帳には、
「誰が管理しているか」
「どの方法で管理しているか」
「復旧用の連絡先が適切か」
といった情報を記録します。
台帳は「作ること」より「更新すること」が大切です
IT資産台帳は、一度作成して終わりではありません。
パソコンを購入したとき。
新しいクラウドサービスを契約したとき。
利用者が変わったとき。
従業員が入社・退職したとき。
機器を廃棄したとき。
こうしたタイミングで、台帳も更新します。
とはいえ、毎週のように細かく確認する必要はありません。
少なくとも年に一度、できれば決算期や年度替わりなど、時期を決めて見直すだけでも大きな違いがあります。
大切なのは、細かく管理することではなく、使い続けられる方法で管理することです。
IT資産台帳を作ると、次に取り組むべきことが見えてきます
IT資産を一覧にすると、さまざまな問題が見つかることがあります。
- 古いパソコンを長く使い続けている
- データのバックアップが取られていない
- 管理者が退職者や外部業者のままになっている
- 2段階認証が設定されていない
- 同じパスワードを複数人で共有している
- 不要なサービスの料金を払い続けている
- 会社のデータが個人のパソコンや個人アカウントに保存されている
- 故障した場合の代替手段が決まっていない
ここで大切なのは、問題が見つかったからといって、慌ててすべてを変更しようとしないことです。
業務への影響や危険性を考えながら、優先順位をつけて、一つずつ改善していけばよいのです。
IT資産台帳は、それ自体が目的ではありません。
現在の状況を見えるようにし、
どこに問題があり、何から改善すればよいのか
を考えるための資料です。
岸本ビジネスサポートがお手伝いします
岸本ビジネスサポートでは、小規模事業者様のIT資産台帳の作成や、IT環境の整理を支援しています。
単にExcelの一覧表を作成するだけではありません。
実際に使用しているパソコンやネットワーク機器、ソフトウェア、クラウドサービス、利用アカウントなどを一緒に確認し、
- 現在何を使っているのか
- 誰が管理しているのか
- どこに業務上の危険があるのか
- 不要な契約や重複がないか
- 今後どの機器を入れ替えるべきか
- どの対策から始めればよいか
を整理します。
また、必要に応じて、
- パソコンや機器の入れ替え計画
- クラウドサービスの契約整理
- Google WorkspaceやMicrosoft 365のアカウント整理
- 退職者・外部委託者の権限確認
- 2段階認証やパスキーの設定
- データの保存場所とバックアップの確認
- 社内でのIT利用ルール作り
なども、事業規模や実際の業務に合わせてお手伝いします。
大企業向けの複雑な管理方法を、そのまま小さな会社へ持ち込むことはしません。
数人で運営している会社やお店でも続けられる、現実的で無理のない管理方法を一緒に考えます。
まずは「何を使っているか」を書き出すところから
ITやデジタルは、今や多くの事業に欠かせない道具です。
しかし、便利だからといって何となく使い続けているだけでは、故障や退職、契約変更、サイバー攻撃などの際に、思わぬ問題が起こることがあります。
まずは、
「ウチには、どんなパソコンやIT機器があるのか」
「どんなソフトやクラウドサービスを使っているのか」
「誰が利用し、誰が管理しているのか」
を書き出してみてください。
完璧な台帳でなくても構いません。
自社のIT環境を自分たちで把握することが、業務を止めないためにも、安全にデジタルを活用するためにも、最初の大切な一歩となります。
「自社だけでは、どこまで調べればよいか分からない」
「長年使っているため、契約や管理者が分からなくなっている」
「一度、パソコンやクラウドサービスをまとめて整理したい」
という事業者様は、岸本ビジネスサポートまでお気軽にご相談ください。
皆さまの会社・お店に合った、無理なく続けられるIT資産管理を一緒に考えます。

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