生成AIをめぐる技術開発が、急速に進んでいます。
ChatGPT、Claude、Geminiなど、次々と新しいサービスや機能が登場し、「どの生成AIが一番優れているのか?」「どのような指示を出せばうまく回答してもらえるのか?」といった情報も、毎日のように様々なサイトから発信されています。
こうした情報を目にして
「結局どの生成AIが良いの?」
「使いこなすには、また新しい事を覚えなければならないのかな?」
と感じている小規模事業者の方も少なくないのではないでしょうか?
けれども私は、生成AI活用で最初に考えるべきことは、生成AIの種類や操作テクニックを知ったり覚えたりすることではないと考えています。
本当に重要なのは、
自社のどの業務を、どのように改善したいのか
を明らかにすることです。

インターネットの黎明期にも同じような議論がありました
インターネットが一般に普及し始めた頃(今からもう30年以上前です)には、複数のWebブラウザが登場し、
「どのブラウザを使うのが良いのか?」(IEなんてダメだ、Netscapeのほうが良い)
「どのソフトが高性能なのか」
といった比較が盛んに行われていました。
もちろん、ブラウザによって機能や使いやすさに違いはあります。
しかし事業者にとって本当に重要だったのは、ブラウザそのものをどれを選ぶか?などではありませんでした。
重要だったのは、インターネットを使って
- 自社の商品やサービスをどのように伝えるか?
- 顧客からの問い合わせをどのように受け付けるのか?
- 情報収集や取引先との連絡をどのように効率化するか?
といった、事業への活用方法を考えることでした。
スマートフォンの普及時にも、同じことが起きました
スマートフォンが普及し始めたときにも
「iPhoneとAndroidのどちらが良いか」
「どの機種を選べば良いか」
といった話題ばかりが先行しました。
しかしその後、事業者にとって重要になったのは、機種そのものの比較ではありません。
スマートフォンを使って
- 外出先でメールや予定を確認する
- 写真を撮影して顧客と共有したり社内で共有する
- キャッシュレス決済を受け付ける(これはごく最近ですが)
- クラウド上の情報を確認する
- 地図確認、予約、勤怠、在庫管理などの業務を行う
といったように、仕事の進め方をどう変えるか?ということでした。
どの機種を選ぶかが全く重要でない、というわけではありません。
ただしそれは、あくまで手段の選択であり、目的は「スマートフォンの機種や機能に詳しくなること」ではなく「スマートフォンを使っていかに業務を便利にし、以下に事業をより良く進めていくか?」でした。
生成AIも、まさに今同じ段階にあります
現在の生成AIも、インターネットやスマートフォンが普及し始めた頃とよく似ています。
新しいサービスが次々と登場し、機能や性能の比較が盛んに行われています。
けれども、生成AIの性能は今後も変化し続けます。しかも、インターネットブラウザやスマホの変化・進化よりも圧倒的に早く短期間で、私たちの想像をはるかに超えた変化を続けています。
そのため、私も含めた小規模事業者の皆さんがすべての生成AIを試し、常に最新の性能や操作方法を追い続けることは、実際問題不可能ですし、現実的ではありません。
むしろ、生成AIを使うために新しい操作や作業を次々と増やしてしまうと、本来は効率化するための道具であったはずなのに、かえって仕事が増えてしまうだけになります。
生成AI活用の目的は、生成AIに詳しくなることではありません。
ましてや、複雑な指示文章(プロンプト)を駆使する技術を競うことではありません。
目的は、現在の業務を改善し、経営をより良くすることです。

最初に必要なのは、生成AIの勉強ではなく、業務の整理です
生成AIを活用する前に、まず必要なことは、ご自分の事業・業務で次のようなことを整理することです。
- 毎日、毎週、毎月、どのような作業を行っているのか?
- 時間がかかっている作業はなにか?
- 同じ内容を何度も入力し、転記していないか?
- 特定の人にしか分からないような仕事がないか?
- 判断や対応に迷うことが多い業務・作業はなにか?
- 顧客への説明や提案が十分にできているか
- 売上や顧客満足を高められる余地はどこにあるか
こうした現状を整理して初めて、
「この文章作成には生成AIが使えそうだ」
「問い合わせ内容の整理を効率化できそうだ」
「過去の対応履歴を分析すれば、次の提案に繋げられそうだ」
「社内に蓄積されている情報を、もっと有効に使えそうだ」
という具体的な活用方法が見えてきます。
そう・・・
自社の業務と経営を見つめ直すことが、何よりも最優先の出発点です。
「何かに使えないか?」と考えるだけでは活用方法は見つかりませんん
ここでいう業務の整理とは、単に頭の中で
「生成AIをなにかに使えないだろうか?」
とぼんやり考えることではありません。
実際の業務を書き出し、作業の流れを確認し、時間や手間、問題点を具体的に整理する必要があります。
例えば、次のように
- 現在行っている業務を洗い出す
- 業務の流れや担当者を整理する
- 時間がかかる部分や、ミスが発生しやすい部分を確認する
- やめられる作業、まとめられる作業、自動化できる作業を検討する
- その中で、生成AIが有効な部分を見極める
- 小さく試し、効果を確認する
- 効果があれば、実際の業務として定着させる
このような取り組みをせず、いきなり生成AIを導入してから「さて何に使えるかな?」とやっても、せいぜい「ためしに文章をChatGPTに作成させてみよう」程度で終わってしまうことが少なくありません。
それでは、一時的に便利さを感じても、会社全体の業務改善や経営力向上にはつながりにくいでしょう。(何度も繰り返しになりますが、それにもかかわらず生成AIを導入することばかりを先行させては、結局「労力の無駄」が発生し、「余計なコストをかけた」だけに終わってしまうのです)
生成AIを使わないという判断も、立派な活用判断です
業務を整理した結果、生成AIではなく、今まで使ってる既存のクラウドサービスや業務システムを導入したほうが良い場合もあります。
また、業務の手順そのものを見直すだけで解決する問題もあります。担当者をしっかり決める、あるいは役割分担を明確にする、というだけで解決する問題もあります。
例えば、同じ情報を何度も転記しているのであれば、生成AIを使う以前に、システム間の連携や入力方法を見直したほうが効果的かもしれません。
社内情報が共有できていないのであれば、生成AIの導入ではなく、情報の保存場所や管理ルールを整えてそれを守る、という社内の文化・管理体制を見直す必要があります。
生成AIは、すべての問題を解決する万能な道具ではありません。だからこそ
どの課題に生成AIを使い、どの課題には別の方法を使うのか
を見極めることが何よりも大切です。
小規模事業者の皆さまに必要なのは「AIに詳しくなること」ではありません
人員や時間が限られている小規模事業者の皆さまが、ご自身で生成AIの最新情報をすべて追い続ける必要はありません。
複数の生成AIを比較し、それぞれの細かな機能や指示方法を覚えることが本業になってしまっては、本末転倒です。
ナンなら「生成AIの使い方を覚える」必要すら、本当はないのでは?とさえ筆者は考えています。
必要なのは、ご自分の(自社の)仕事を理解し、
- どんな負担を、どんな非効率を減らしたいのか
- なにを速く(スピードアップ)したいのか
- 何の品質を高めたいのか
- どのような新しい価値を生み出したいのか
を明確にすることです。
そのうえで、目的に合う生成AIやデジタルツールを選べばよいのです。
生成AIを使いこなすことよりも、生成AIになにをさせるべきかを判断できることのほうが、はるかに重要です。
岸本ビジネスサポートが支援すること
岸本ビジネスサポートでは、単に生成AIの操作方法を説明するだけではなく、事業者の皆さまと一緒に現在の業務を整理し、改善すべき課題を明らかにすることを重視しています。そのうえで
- 生成AIを活用すべき業務
- 既存のクラウドサービスを活用すべき業務
- システム化や自動化を検討すべき業務
- 手順や役割分担を見直すべき業務
- 今後の成長につなげるために強化すべき業務
を整理し、現実的な改善方法をご提案します。
生成AIを導入すること自体が目的ではありません。
生成AIを含むデジタル技術を使い、仕事をより分かりやすく、効率的にし、事業の成長につなげることが目的です。
「生成AIが話題になってるけど、ウチの会社でなにに使えるのか分からない」
「試しに使ってみてはいるけれど、なんか結局業務改善にはなってない気がする」
「どの業務から見直せばよいか、それが分からない」
そのような場合には、生成AIの使い方を勉強する・覚える前に、まず現在の業務を一緒に整理するところから始めてみてはいかがでしょうか?

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