Excelで作成した表やグラフなどの書類に、透かし文字を入れて印刷するには?というご質問を承ったので、その回答も兼ねての解説記事です。が・・・
Excelに透かし文字を入れる機能はない
この解説記事を「Excelのシートに、テキストボックスか何かで文字を入れて、それを透かし文字にするためのテクニック解説だ」と想像してアクセスされた皆さまへ、まず誤解のないようご説明させていただきます。
Excelではテキストベースの文字を透かし(透過)にする機能はないそうです(→公式ヘルプサイトにそう書いてありました「Excelで透かしを追加する」)。なので、どんなワザを使っても、Excel上でテキストボックスなどを透かし文字にすることは出来ません。このページの解説は、そういうテクニックの裏技的な解説をするものではありません。
「もしかして、どこ検索しても出てこなかったExcelの透かし文字追加機能のことが書いてあるのかも?」と思われてお読みになっている方、大変申し訳ありませんがそういう解説は一切ございませんのであらかじめご了承ください。
実現したいことはこんなこと
じゃあ、実際何を解説してくれるのよ?というと・・・弊社の実際のお客様からのこういうご要望に対する対処方法の解説です。
- Excelで書類を作った
- 作ったデータはこれでOKで保存すれば良い。
- けど、印刷をするときだけは「社外秘」っていう透かしを入れたい
- 印刷したものをデータで渡すこともあるので、その際にも「社外秘」と入れたいんだけど、シートの枠線などが隠れないように半透明にしたい
つまり、この場合のクリアすべき課題は「書類として印刷する際に透かしを入れたい」という話と「印刷物と同じものをデータで渡したい」ということなんです。「Excelで透かし文字を入れなきゃいけない」という縛りはどこにもなくて「結果的に透かし文字が入れば、Excel上でやらなくても良い」という話。
じゃあ、それをどうやって実現するか?・・・それが此処から先の解説です。
手順
概略
出来上がりはこんなものをめざしています(図)が、これを作成するための手順の概略を説明しておくと
- Excelで作成したシートをPDFに変換して保存する
- PDF編集ソフトで希望する文字を書き入れる
- 書き入れた文字を半透明化する(透かしと同じように見せる)
というものです。ではさっそく
ExcelをPDFに変換する
まず目的のExcelファイルを開き、「ファイル」→「エクスポート」とたどって、ExcelファイルをPDFとして保存します(エクスポートします)。
PDF-XChangeEditorで開く
保存したPDFファイルを、無料で使えるPDF編集ソフト「PDF-XChangeEditor」で開きます。(「PDF-XChangeEditor」は弊社Webサイトでもご紹介しているソフトです。有料版もありますが、無料で使用できるFree版で今回の作業を行うことが出来ます)
開いたら「タイプライター」ツールで、目的の位置に文字を入力します。ちなみにタイプライターツールで入力できる文字は、初期の状態では黒い色でフォントサイズも小さいですが、図のようにメニューバーの部分でフォントサイズ・スタイル・色などを調節できます。
※この時点では、まだ半透明にはなっていません。
タイプライターツールのプロパティ
文字を入力し終えたら、入力したタイプライターのエリアそのものを選択しなおします。すると図のように「プロパティ」というメニューが出てきます(文字入力出来るような「文字そのものを選択肢ている状態」だと出てこないのでご注意)。
プロパティをクリックすると画面右側にタイプライターのプロパティを調整する画面が出てきます。この中に「透過率」という部分がありますので、ここをクリックして透過率を調整します(透過率は、100%が一番濃くて0%だと全く色がなくなります。上記で例示した出来上がりは、20%にしました)
出来上がり
透過率を設定し終えると、図のように半透明の文字(=ほとんど透かし文字と同じ状態)が出来上がります。よく見ていただければわかると思いますがサンプル画像では特に「社外秘」の「秘」の文字に注目すると、セルの枠線が隠れずに見えているのがわかると思います。
ここまできたら、あとはPDFファイルを上書き保存するなり、名前をつけて保存するなりして作業完了です。
このままプリンタで紙に印刷すれば、透かし文字のように印刷されますし、データとして相手に渡せば、社外秘の透かしが表示された状態のPDFファイルで渡せます。
この方法のメリット・デメリット
メリット
自由に文字を入れて「透かし」にできる
Excel解説の様々なサイトでは、「どうにかしてExcelだけで完結」ということを目指しているようなので、「あらかじめ透かし文字にしたい文字を画像として作成しておいて、それを画像として入れてから透過にする」という手順をご提案されています。この方法だと「ちょっと文字を入れたいだけ」なのに、わざわざ画像作成ソフトを引っ張り出してこなければならない分、やたらと手間がかかる上に結構難解な手順(のように私には思えます)です。(色を変えるとか、文字を訂正するとか、フォントスタイルを変えるということが発生するたびに、画像ファイルから作り直さなきゃならない)
これにたいしてこのページで解説している方法だと、「PDF-XChangeEditor」という別のソフトを使わなければならないというハードルはありますが、文字を入力する操作のところで自由に文字を入れられますので、非常に自由度の高いノウハウになります。
Excelデータそのものをいじらなくてすむ
Excelを一旦PDFにしてから、PDFファイルを編集するので、元のExcelファイルをいじる必要がない、というのもメリットですね。
デメリット
Excelデータそのものではなくなる
「社外秘」のような文字を入れたいんだけど、データとしてはどうしても「Excelデータで渡したい」という場合には、この方法では対処できません。その場合は、多少ご面倒でも「透かし文字を画像として作成しておいてから入れる」という方法を採用して頂くしかないと思います。
難しいテクニックを覚えるよりも「実現する」ほうを優先
今回ご案内した方法は、Excelのスキルアップやテクニック習得を目的としたものではまったくありません。実務の現場で「テクニックを覚える」時間と手間を省き「とにかく時間内に必要な作業を実現する」ためのノウハウとしてご紹介させていただいた解説です。
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