業務でパソコンを使っていて、そのパソコンがWindows7だという事業所はまだたくさんあるかと思います。
2020年1月14日つまりこの記事公開の2日後には、Windows7のサポートが正式に終了します。
世間では「そのまま使い続けるととんでもないことになる」というような印象の解説や案内が見受けられますが、実際のところどうなのでしょう?
このページでは、弊社が実際に支援している事業者様を念頭に置いて、個別具体的ないくつかの事例について解説し、Windows7終了について皆様の何らかのヒントにしていただければと思います。
様々なシーンで「Windows7は対象外」になる
Windows7のパソコンで利用する様々なサービスやシステムが「動作保証対象外」あるいは「動作対象外」になります。
電子入札システムが使えなくなる
弊社の支援先事業者様の中には、「静岡県電子入札システム」を利用して公共事業の入札や受発注手続きを行っている事業者様も多々いらっしゃいます。その「静岡県電子入札システム」は1月15日以降、Windows7のパソコンでアクセスして電子入札システムへログインすることができなくなります。
つまり、Windows7パソコンでは電子入札システムでの入札ができなくなるということです。(これは、静岡県電子入札システムの公式サイトにも記載があり「静岡県行動利用電子入札システムにおいても当該OSを動作環境から除外する予定です。」とされています。
インターネットバンキングでの「動作保証対象外」が増える
今やネットバンキング(Webバンキング)はフツーに使われるようになりましたが、Windows7サポート終了に伴い、セキュリティ上のリスク回避という理由で様々な金融機関がWindows7を動作保証対象外にし始めています。
弊社および弊社支援先に関連する金融機関のそれぞれの対応状況は以下のとおりです。
静岡銀行
2020年1月14日以降、Windows7を「当行推奨環境」から除外するとのことです。
→https://www.shizuokabank.co.jp/notice/detail/4259
スルガ銀行
この記事執筆現在、Webバンキングの動作環境の案内などでWindows7についての記載・案内はありません。
沼津信用金庫
Windows7は,2020年1月15日以降、インターネットバンキングの推奨環境の対象外とさせていただきます。
→https://www.shinkin.co.jp/ib/info/kyotsu/oshirase/20191021/index.html
三島信用金庫
Microsoft社のサポート終了と同時に「Windows7」をインターネットバンキングの動作推奨環境の対象外とさせていただきます。
→https://www.mishima-shinkin.co.jp/_userdata/notice_web_windows7-support_end.pdf
いずれの場合も「推奨環境から除外」となるだけなので、1月15日以降いきなりWindows7では利用できなくなる、というわけではありません。
ただ、今後各インターネットバンキングが「Internet explorer」を動作対象から外すことになると、Windows7では動作しなくなる、ということが現実になってきます。(Windows7でChromeなどの別ブラウザを利用している場合はこの限りではありませんが、それでもセキュリティ上のリスクが残ります)
各種業務ソフトの対応
弥生会計・弥生販売・弥生給与
現行バージョンでもWindows7で動作しますが、「Windows7の環境に起因する問題が発生した場合の保証やサポートは対応できません」とのことです。
→https://www.yayoi-kk.co.jp/users/topics/windows7/01/index.html
クラウド会計freee・クラウド労務管理freee
クラウドサービスなだけに、推奨するブラウザでアクセスできていれば問題ないとのことで、この記事執筆時点でWindows7サポート終了に関わる言及はありません。
クラウド会計MonefForward
こちらもクラウドサービスなだけに、Windows7サポート終了に関連して動作環境の変更等は案内されていません。
筆まめ
住所録管理等で弊社支援先事業所でもよく使われている筆まめですが、動作環境の案内としては、筆まめバージョン21以降(現時点での最新バージョンはバージョン30)であればWindows7で問題なく動作するとのことです。
→https://fudemame.net/support/support/windows/windows-mame.html
と、このように「Windows7サポート終了」と言っても、ただちにWindows7が使えなくなるというわけではなく、表面上(見かけ上)だけの話で言えばむしろ「2020年1月15日以降Windows7を使い続けていても、とりあえず業務上支障が出ることはあまりない」というのが正確なところです。
ただしそれは「見かけ上」の話です。
ITの利用・活用においては「見かけ上問題ない」からといって漫然と対応していると、「問題が表面化したときにはもう取り返しのつかないことになってしまってた」というのがが常です。
セキュリティ上の問題は?
「セキュリティ上Windows7を使ってるのは危ない」という言われ方をされていますが、これは正確に言うと
- 2020年1月14日時点で備わっているWindows7のセキュリティ機能は引き続きちゃんと動きます。
- ただし、Windows7の機能や不具合の修正について、オンラインアップデート(更新)は行われないので、2020年1月15日以降に発生する新たなセキュリティ上のリスクや脅威には対応しません。
- 一方、Windows7上での動作保証をしているセキュリティソフト(ウィルスバスターとか、ESET InternetSecurityとか)は、引き続き動作しますし、なおかつ「そのセキュリティソフトの有効期限が来るまでは」新たなリスク等にもある程度対処されます。
- ただし、そもそもWindows7そのものがアップデートをしないので、セキュリティソフトでは対処しきれないWindows7そのもののリスクにはやはり対応されません。
なので、なんでもかんでもWindows7だと危ないから今すぐ最新のWindows10にしないととんでもないことになる、とまで大げさな(緊急性を煽るような)話ではありません。
この点に過敏になりすぎて大騒ぎをしないように、冷静に考えるようにしましょう。
けれども、だからといって「ナンだ、それならWindows7のままでも大丈夫じゃん」ということでは全くありません。むしろ逆で、だからこそ(見かけ上大丈夫そうだからと慢心して、取り返しのつかないことにならないように)積極的に最新の環境へ更新あるいは買い替えなどで対処することをご検討ください。
不具合の修正や更新・新たなリスクへの対応を終了しているOSで動いているパソコンが、リスクが大きいので何らかの対処をする必要があるのは当たり前中の当たり前です。
例えて言うなら
「自動車保険に入らなくても車を運転できないわけじゃないから、無保険のまま車を運転します。」っていう人に業務で自動車の運転をさせられるか?
という話と同じです。
今や事業・業務・お仕事をする上でパソコン・IT機器は単なる「あって便利な機械」というだけではなく「業務上の重要なデータを保管したり、替えの効かない大切な作業や処理を任せる、経営上の必須リソースのひとつ」です。
「面倒だ」「お金が勿体ない」「分からない」といった消極的な理由で最新の状態を保つ努力・取り組みを怠るのは、リスクがあまりに大きいのと同時に、経営や事業に対する姿勢や資質までも問われかねません。
ぜひ、きちんと取り組まれることをおすすめいたします。