給与計算ソフト(システム)あれこれ

給与計算ソフトあれこれ

近年、給与計算ソフトは大きく2つのモデルに分かれます。ひとつは「クラウド型・従業員数課金制」、もうひとつは「インストール型・買い切り(従業員数無制限)」。それぞれメリット・デメリットがあり、自社の規模や運用方針に合わせて選ぶ必要があります。本稿では、まず両モデルを7つの視点で比較し、その後、具体的な製品例をタイプ別にご紹介します。


1. 法令改正・アップデート

  • クラウド型:法改正や税率変更をサーバ側で自動反映。ユーザーは常に最新版を利用可能。
  • 買い切り型:保守契約期間中は無償アップデートが提供されるが、期間後は手動でのパッチ適用や有償バージョンアップが必要。

2. 利用環境・アクセス性

  • クラウド型:ブラウザやスマホアプリでいつでもどこでも利用可。社内サーバやVPN構築は不要。
  • 買い切り型:Windows PCへのローカルインストールが基本。社外から使うにはVPNなど自前の仕組みが必要。

3. 他システム連携・自動化

  • クラウド型:勤怠管理・会計・銀行振込サービスとAPI連携が充実。ワンクリック振込やデータ自動取り込みが可能。
  • 買い切り型:CSV出力や全銀協フォーマットでの振込ファイル作成が中心。自動化はバッチ設定や手動がメイン。

4. 従業員セルフサービス

  • クラウド型:給与明細のオンライン閲覧、電子承認、マイナンバー申告などを従業員自身が操作可能。
  • 買い切り型:メール配信はできるものの、専用ポータルやスマホアプリ連携は限定的。

5. データ保全・バックアップ

  • クラウド型:自動バックアップ&冗長化で障害耐性が高い。
  • 買い切り型:バックアップはユーザー自己責任。定期的な手動バックアップと復旧作業が必要。

6. ライセンス・コストモデル

  • クラウド型:従業員数×月額の従量課金制。初期費用は低いが、人数増でランニングコストも上昇。
  • 買い切り型:一括購入のみ(「やよいの給与計算24」は20名まで)。人数が増えてもコスト一定。

7. 追加機能・拡張性

  • クラウド型:AIチャット、分析ダッシュボード、新機能を継続的に追加。
  • 買い切り型:帳票デザインや独自計算式の自由度は高いが、新機能導入はバージョンアップ待ち。

タイプ別おすすめソフト

クラウド型・従業員数課金

  • freee人事労務:初期設定から自動連携までスムーズ。
  • マネーフォワード クラウド給与:会計/勤怠と連携し、ワークフローも充実。
  • ジョブカン給与計算:勤怠管理とのセット利用で一体化。
  • ジンジャー給与:スマホアプリに特化し、セルフサービスが得意。

インストール型・買い切り(従業員無制限)

  • 給料王22(ソリマチ):大手定番。帳票カスタマイズ性高し。
  • 給料らくだ23(BSLシステム研究所):操作性重視、マイナンバー対応も完備。
  • Cells給与:Excel互換の操作感。自社カスタマイズが自在。
  • JDL IBEX給与II:金融機関連携や特殊計算に強み。
  • MJSかんたん!給与:中小規模向け、費用対効果に優れる。
  • EXPLANNER/S(富士通):大規模導入実績。高度な分析機能付き。
  • やよいの給与計算24:20名までの小規模向けだが、買い切りで安価。