ITコーディネータ独立開業録〜11〜

筆者(岸本)が独立開業、ITC資格を取得して「何とか食えるようになった」体験記その11

ITコーディネータ協会との関係構築

独立開業してITコーディネータ資格を取り、全く食えなかった状態からなんとか食えるようになるに至った経緯の、重要な要素の一つとして「ITコーディネータ協会との関係構築」があります。

この開業録の最後に、この点をご紹介しておこうと思います。

ITCAとの接触は2013年が最初

ITコーディネータ資格を取得したのは2004年でしたから、毎年ITC協会さんへは「ポイント獲得の登録と資格更新手続き」をしていました。その意味では毎年接触していたと言えば接触していましたが、それはあくまで「単に資格を維持するための事務手続きでの接触」。具体的な協会職員さんとのつながりや、個人的な人脈は全くありませんでした。ホントにゼロ。

ITコーディネータ協会の「正会員」にも登録はしていませんでした。資格維持に年間2万円+研修受講などでウン万円もかかるのに、その上正会員になってさらに会費数万円を支払う余裕など、私には一切なかったからです(そのあたりは、体験記1〜5あたりで書かせていただいています)。

具体的な接触となったのは、2013年に、地元静岡県で「信金フェア」という地元信用金庫のビジネスマッチングフェアへブース出展する、という機会です。

ITコーディネータ協会本部から、私の所属していた届け出組織「IT静岡」へ「ITCAとしてブース出展するが、地元ITCさんにお手伝いいただきたい」という依頼をいただき、そのお手伝いとして参加したのがきっかけです。そのブース出展当日に、丸一日ブースでの説明員兼チラシ配り隊員としてお手伝いしながら、ITCA協会本部の方と直接お話をして色々意見交換したのが最初です。

その際に、予てより(資格取得した2004年〜2012年まで)ずっと訴え続けていたことを直接お話させていただきました。お話させていただいたのは以下のような主旨の話。

ITコーディネータ協会さんが想定しているIT経営とか支援とかは、対象企業が大きすぎて(中小企業とはいっても想定している規模が、数十人〜数百人の中堅企業・・・つまり地元ではどうみても大企業というイメージ)で、実際にITのことを支援してほしい・ITを事業に役立てたいと切望している事業主さんの規模やレベルと、全くマッチしていないと思います。事業規模、年商1000万円とか、従業員数3人とか、一人でやってる商店主さんとか、そういう方相手にどうやって「RFP書いてIT導入支援しろ」っていうんですか?もっと「現実にニーズのある小規模事業者へのアプローチを真剣に考えるべきでは?」

このときの私の話しぶりがあまりに強烈・熱弁だったようで、ITCAの担当職員さんの印象に強く残ったそうです。

ワーキンググループに無償参加

その後、それに関連するような(しないような?)ITCA内でのある取り組みが発足し、そのワーキンググループに参加するメンバーを募っていることを知り、良い機会だから、上記の熱弁の主旨をもう一度協会本部へ行って訴えかけてみようと、そのワーキンググループに手を挙げました。

結果、私の訴えかけたいことは、ワーキンググループの内容とは少し主旨が違ったので訴求できずじまいでしたが、この参加を通じて、全国各地でITCとして仕事をしている方と実際に知り合うことが出来ました。
この仲間の方たちとはその後、SNSなどを通じて情報交換や意見交換を続けています。

ITC協会本部とは「仕事」で関係構築を

ITコーディネータ資格を持っていて、ITCAとの関係の作り方は、いくつか考えられます。

  • 協会本部の活動のお手伝いという関係を築く
  • 理事会・総会など協会運営の場へ参加し協会内の立場を作る
  • ITCとしての業務や仕事を通じてITCA協会と連携する
  • 届け出組織としてITCA協会に所属し、ITCA協会との関係を維持する

色々ありますが、私の個人的な意見としては「自分自身がITCとしての仕事をしながら、それをITCA協会本部との連携材料にする」のが良いと思います。(コレには賛否両論あるでしょうから、あくまで私個人の意見ということで・・・)

理由は単純・明快です。ひとりのITコーディネータとして仕事を獲得し継続的にITCとして活動できるためにどうすればよいか?と考えたときに・・・

  • 協会本部の活動のお手伝い、は人数が限られているので、そういう関係を作ろうとしたところで必ず門戸が開かれているわけではない。
  • 理事会・総会など協会運営への参加は「ITCとしての仕事獲得」「事業主としての継続的な収益獲得」には直接貢献しない。
  • 届け出組織としての所属は、組織対組織の話で、「私ひとりのITCとしての食えるか食えないか?」には直接関係しない

と、消去法で考えた場合、やはり実際の支援案件・具体的な仕事を通じて連携したほうが良いと思うのです。

実際、ITC協会本部さんも「各地域での、ITC資格者の仕事の実績や支援事例」を多数欲しがっていて(=事例が多ければ多いほど、協会としてもアピール材料が増えますので、ね)、それに乗っかるように「こんな事例があるんだけど、何か事例紹介とかスキームの構築に役に立ちませんかね?」というような提案をすることで、ITCA協会さんからも、ある程度認知・注目してもらえることと思います。

ITCA協会との関係構築の成果は?

私の場合、ITCA協会本部との関係構築は「特定セクションの担当者の方と、具体的な仕事を通じて連携をする」というものでした。理事会とか、上層部の方へ名前を売り込むとかそういうことはしたことがありません。

で、その結果の成果はどうか?というと・・・それほど件数は多くないですが、いくらか支援案件や研修講師の案件を頂いています。

この関係と仕事量だけで、一人の独立系ITCとして事業を成立させるほどの収益は得られていませんが、獲得した案件を通じて様々なノウハウ・人脈などを蓄積することが出来、その意味では有益な関係を構築できていると考えています。

独立系ITCとして食うために獲得したスキル・技術

さて、その6あたりから連続して「食えるようになるために、外部とどういう関係を築いたか?」について体験をお話してきました。まだまだ細かな話は尽きないのですが「外部との関係構築」の話はこのあたりで一旦区切りにしようと思います。

次回からは、「食えるITC」になるために、私がどのようなスキルや技術を習得してきたか?どういう分野のどういうテクニックを獲得しているのか?などについて超具体的な話をお伝えしようと思います。

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