ITコーディネータ独立開業録〜9〜

筆者(岸本)が独立開業、ITC資格を取得して「何とか食えるようになった」体験記その9

商工会・商工会議所へのアプローチ(失敗編)

その7,その8で「金融機関へのアプローチと関係構築」についてご紹介しました。その7で屈辱的な失敗談を、その8でその後の関係構築の経緯をご紹介しましたが、商工会・商工会議所へのアプローチも実は同じように「一度こっぴどい失敗」を体験し、その後になって関係を構築できるようになっています。

このページでの解説は、その1「失敗編」です。

ただ、誤解の無いように・・・金融機関との連携と同じく私は商工会・商工会議所へのアプローチでも当初うまく行かずに散々苦杯をなめさせられていますが、だからといって商工会議所・商工会さんとの連携をだめだとも意味がないとも全く思いません。むしろ、きちんと関係性を構築しておくことは独立系ITCとしては非常に重要な要素になり得ると思います。

全く認知されなかった2009年

2008年ころ、金融機関との連携を模索し、紹介を通じて地元の信金さんへアプローチをしましたが、その取り組みは惨憺たる結果で終わりました→詳しくは「ITコーディネータ独立開業録〜7〜」へ。

その失敗もあって、「よし、それならば商工会議所・商工会へ訪問してみよう」と言うことになりました。とは言っても、超人見知りの筆者・・・地元とは言え見知らぬ商工会議所へ単身乗り込むなんて出来ようはずもなく、実際には「お客様となっていた個人商店の商店主から、地元の商工会議所の担当者さんを紹介していただいて、アポをとってもらい、全部手はずが整った上で」というアプローチでした。

ただ・・・これもせっかくお客様にご尽力頂いたのにも関わらず、うまく関係を築くことができませんでした。理由は明確で、以下の2点です。

  • 「ITコーディネータって、何?」・・・2009年当時、私の知る限り商工会議所等の現場担当者さんで「ITコーディネータ」と言われてナンのことか、どんな専門家なのかが分かる人は、正直言って皆無、ゼロでした・・・そんな「なんだかよく分からない資格者」が突然商工会議所に「専門家として付き合ってくれ」と提案に来たって、話を聞いてくれるはずがありません。
  • 中小・小規模事業者の事業や業務、IT化相談なら、ウチにはすでに専門家登録されている中小企業診断士の先生や、マーケティングアドバイザーの先生がいるから、必要ない・・・これもこの当時よくぶち当たった壁でした。この頃(いや2021年の現在もそうだと言えばそうですが)ITCが他の専門家の先生方と何が違ってどういう独自の専門領域があるのか、全く説明する手立てがなかったのです。

唯一金融機関さんのときと違ったのは「けんもほろろ」な冷たい対応ではなかった、という点(苦笑)。一生懸命提案やアピールをしたことには一応敬意を評してくれたようで、「何かご相談させていただく機会があるかもしれませんので、その時にはお願いします」というお返事をいただきました・・・が、結果的に2009年に訪問して、その後2018年までの間、ただの一度もご相談の案件やご連絡はいただけませんでした。

ITコーディネータは「認知されない」資格と思っておくべし

金融機関のときといい、この商工会議所の件といい、正直に言って2009年当時は「ITコーディネータ」という資格は、「資格を持っていることでのアドバンテージは皆無」でした。なにせ、どこへ言っても「あいてぃこーでぃねーた?なにそれ?」状態だったのですから。

この状態で、どんなに「ITCです、経営とITの橋渡しのできる専門家です」と声高に叫んでみたところで、どこからも誰からも相手にされないのは当然の話です。

さて・・・では2021年の現在はどうか?というと・・・これも正直に言うと、ただ単に「ITコーディネータの資格を持っています」というだけでは、全く、1ミリもなんのアドバンテージにもなりません。(長年のキャリアとか、実績とか、そういうものを持っていたり、あるいは経験値から様々な対応やアピールができるのであれば別ですが)

これは、多分今後も劇的に変わることはないでしょう・・・つまり、「ITコーディネータ」という「資格」は、資格をとって保持しているだけでは、ナンの役にも立たない、あえて汚い言葉を使えばクソみたいな薄っぺらい資格制度です。

ITコーディネータの持っているスキル・ポテンシャルは自信を持つべし

え〜と(笑)・・・前節でかなり毒づいてしまいましたが、それはそれで本音です。(資格とその名前だけにあぐらかいて何か恩恵を受けようなんてのは、ITC資格じゃなくたって駄目ですよね)

けれど、資格制度や認知度はさておき、ITCが資格取得の過程や資格維持の過程で獲得する、様々なノウハウやスキル、経験則は、他の国家資格や他の分野の資格ではなかなか得難いものではないかな?と想像しています(想像、と言っているのは私はITC以外の資格を持っていないので身を持って体験できていないからです)。

そして、そのスキルや潜在的なポテンシャル(=中小・小規模事業の経営者さまを支援して成果を出せる潜在的な可能性)は、非常に高いものがあると個人的にはそう確信しています。

商工会・商工会議所へのアプローチは「周囲固め」が肝要

話を本筋に戻しましょう。商工会・商工会議所は、各地域での事業者支援の歴史も長く実績も多数あることから、ITCが入り込むまでもなく「ITの専門家」「経営の専門家」がすでに何名もいらっしゃいます。

そこへ、なんのツテや前振りもなく突然アプローチしても、なかなかすんなり連携したり関係構築することは出来ません。実際私も、上記のように(実は地元の複数の商工会・商工会議所さんへこういうアプローチをしたのですが)散々な結果に終わりました。

商工会・商工会議所も、ITCとして関係構築するためにはそれなりに「周囲がため」た必要です。筆者(岸本)は、当初(2009年)のアプローチ失敗からなんと10年近くたった2018年に、この「周囲がため」が偶然出来て、その後関係を築くことが出来ました。

その経緯は、次の解説記事でご紹介しようと思います。

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