独立・開業解説~18~

独立・開業~法人設立ってダメなの?~

独立開業して法人設立するのって、どうなのよ?

法人設立、別にダメじゃない

この独立開業の解説コーナーでは何度か「法人設立にこだわってもイイことない」というような解説をさせていただいてきました。その部分だけ斜め読みするとナンか私共岸本ビジネスサポートが個人事業主の法人設立(いわゆる法人成り))を否定しているような印象を受けられるかもしれませんが、決してそうではありません。

法人設立して事業を行うことは、幾つかの点でメリットがあります。

  • 顧客や取引先への信用度が増す。商品仕入れや売買の際に法人格でなければ取引してもらえないような条件をクリアできる。
  • 取引の幅が広がる。一部上場企業とか官公庁などとの取引条件に「法人格を有すること」なんていう場合もあるので。
  • 節税面で有利な場合がある。所得分散とか、赤字決算の場合の繰越とか。
  • 融資を受けやすかったり資金調達しやすかったりする。

なので、上記のようなメリットを享受できる可能性が大きければ、法人成り(会社設立)するのも大いにありだと思います。

また、私の周囲の税理士さんたちの意見はほとんど一致していて、「税制、つまり国の制度としては法人事業所のほうが有利になるようにできている」とのことですから、事業を大きく拡大していこう、大きなビジネスに取り組もうという場合には法人設立のほうが有利です。

前提条件をよく考えて検討しましょう

信用の話とか取引の幅の話は「法人設立と個人」の回で解説したとおりです。(→「法人設立と個人」

節税とか税金面でメリットらしいメリットを得られるようになるのは、ある程度の事業規模、つまり売上額や利益額がそれなりに大きくなってきてからの話です。どのくらいかと言うのは、私には具体的に詳しくは分かりませんが、税理士さんからお話を伺ったりする限りでは、年商1億円くらいの規模以上でそれなりの利益率を確保できている場合、だそうです。

一人親方として仕事をスタートし個人事業主(個人経営)になった場合、多分殆どの方が最初はそんな億単位の売上なんて見込めないでしょう?最初の年はきっと売上1,000万円を超えるかどうか?という次元だろうと思います。そのレベルで、節税とかお金のことだけを考えて法人設立するというのは、きっとメリットを得られないと思います。

長く事業を継続していくのなら法人化したほうが良い

長い時間をかけて信用を積み重ねていく商売をしている場合とか、あるいは自分の代で終えずに息子さんや娘さん(あるいは身内でなくてもイイんですが)などに継いでもらおうと考えているような場合などのように、継続していくことで成り立つ事業の場合には法人設立して事業に取り組んだほうが良いです。

ただ行う商売が事業主であるあなた自身に帰属するような場合・・・例えば司法書士とか土地家屋調査士のような国家資格で仕事をする場合や、レストランや美容室のようにあなた自身の技術を売る場合のように、他の人に代わってもらうわけに行かない場合には、こういう基準(=事業継続のメリット)で法人設立は考えないほうが良いと思います。

功を焦って法人成りしないようにご注意

いつかは法人設立するぞ!という目標や意気込みは大いに結構です。私共でもそういう方をじゃんじゃん支援してはいます。

ただ、独立開業したばかりの頃は、得てして意気込みばかりが空回りしてしまったり、ご自分の状況を冷静に判断できなかったり、あるいは功を焦る気持ちが強かったりして、「法人設立」に向けて色んな要因をご自分に都合よく解釈してしまう傾向があるようです(私の支援の経験上の話です)。

そういう状況下であまり法人成りにこだわりすぎると結果的に的確な事業発展が難しくなることもあるので、そういう「焦り」や「名声欲」みたいなもので法人成りしないよう、自分自身をよく自制しながら判断していくようにしましょう。

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