令和2年の青色申告特別控除

事業を営んでいて個人の確定申告をされている場合、令和2年度(2021年2月の確定申告)から、青色申告特別控除の適用要件が変わります。・・・というお話は聞いたことのある方が多いと思いますが、「それって、ナンのこと?」とピンと来ない方も多いかと思います。

このページでは、そういった「よく分からない」という方を想定して、青色申告特別控除の適用要件変更について、とにかく「具体的で分かりやすい」解説をさせていただこうと思います。

青色申告って、ナンだ?

まずはここから説明しておきましょう。個人事業主の場合、ほとんどの方が毎年2月15日~3月15日の間の1ヶ月間に、その前の年の1年間(1月1日~12月31日)の確定申告を行います。(確定申告とは「1年間商売して、これだけ売上があってこれだけ費用を支払ってて、都合これだけ収益があったから、支払う税金はこうなりますね」という事を自主申告する作業のことです。)

個人の確定申告には「白色」「青色」と種類が分かれていて、そのうちのひとつが「青色申告」というやつです。確定申告というのをした際には、大抵その控えを取ってありますよね?その書類を引っ張り出してきて見てみて下さい。図のような感じの書類(青色申告決算書)というのがあれば、「青色申告をしている」ということになります。(筆者の個人事業主時代のホンモノの決算書類を載せてありますので、数字の部分は塗りつぶしてあります^^;)

青色申告特別控除

青色申告という方式で確定申告をすると、「青色申告特別控除」という所得控除が受けられます。所得控除って何か?というと・・・

確定申告は「納税すべき所得税」を確定(金額を決める)ために行うのですが、その金額は「所得額(つまり1年間に得た利益額)」を基準に計算されます。所得額が多ければ、納税すべき所得税額も大きくなります。所得控除というのは、この「所得額」から差し引いてあげるよ、という金額のことを言います。

青色申告特別控除では、最大65万円の所得控除が受けられますつまり、ものすごく分かりやすく単純に言うと例えば「1年間で結果的に100万円利益が出た(所得額が100万円だった)」という方が青色申告特別控除を差し引くと「1年間の利益は35万円だったことにしてイイよ」ということになるわけです。

課税される所得額が100万円なのと35万円なのでは、エラい違いになりますね。

青色申告特別控除を受けるための条件

上記の説明でご理解いただけたと思いますが、青色申告特別控除は、個人事業主で確定申告をしている方にとって非常に大きなメリットのある制度です。ただしこの控除は誰でも無条件に受けられるわけではなく、条件をクリアしていなければなりません。その条件は、細かいことをイイ出したら色々あるのですが、主な点を上げると、

  1. 開業届・青色申告承認申請書を提出してあって、なおかつきちんと期限内に確定申告をすること
  2. 複式簿記という方式で確定申告のための記帳をしていること
  3. 確定申告の時に貸借対照表と損益計算書を添付して、控除を受けるべき金額を記載してあること

です・・・というのが、2020年3月の確定申告までの話でした。ところが・・・

青色申告特別控除の制度が変更になりました

平成30年の税制改正という法律改正で、この「青色申告特別控除」を受けるための条件が変わりました。(実際に変更になるのは2021年からです)。

※詳しい情報・最新の正確な情報は国税庁の資料をご確認下さい。

これまでと全く同じように上記の3条件をクリアして確定申告をしても、2021年の確定申告からは「青色申告特別控除金額が55万円に減額」されてしまうことになりました。ただし、以下の追加条件をクリアしたら、「これまでと同様に65万円の控除が受けられる」ということになったのです。その条件とは

  • e-Taxによる電子申告で確定申告を行うこと
  • 電子帳簿保存の承認申請を受けていること

の、どちらかをクリアしている必要がある、というものです。

これまで、確定申告書類をパソコンで打って印刷していたり、手書きで作っていたという事業主様の場合、2021年からは65万円の控除が受けられなくなります。
では、上記の条件どちらかをクリアするにはどうしたらよいの?という疑問が出てきますよね?

e-Taxを始めるには?

e-Taxを始めるにはどうしたら良いか?について、別ページで解説コーナーを設けました。
e-Tax(電子確定申告)を始めるには

電子帳簿保存を申請するには

電子帳簿保存についても、申請するにはどうしたら良いか?について別ページで解説コーナーを設けました。
電子帳簿保存を申請するには?

※どちらを行うのにしても、準備には結構な手間と時間がかかります。なるべく早い時期に、専門家に相談して準備をスタートするようにしましょう。

私の場合・ウチのお店の場合どうしたらイイの?

ここまで説明をお読みいただいた読者の皆様の中には「なんだか難しそう・・・それで結局、私の場合はどうしたらイイの?」と思われている方もいらっしゃるだろうと思います。

個別具体的なご相談・ご質問は弊社で個別に承っております。このページの下部のお問合せフォームからどうぞお気軽にお問合せください。

それとは別に、筆者と周囲の専門家の皆さんで、このテーマ「青色申告特別控除の制度変更へ対応するために、実際にどんな事をすれば良いのか?」について、ディスカッション・情報交換をスタートしています。

2020年5月から来年2020年3月の確定申告終了時期までを目安に、弊社ホームページや、あるいは別のネット上のコミュニティなどを通じて、さまざまな参考情報やトピックをお届けします。

詳しくは、随時このページおよびこのホームページのトップページ上でご案内いたします。

個別相談を承っています

このページで解説していることについて、具体的にご自分のお店や事業の事を質問したい・相談したいというご相談を承ております。以下のフォームからお気軽にお問合せ下さい。

 

 

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