ITコーディネータ独立開業録〜10〜

筆者(岸本)が独立開業、ITC資格を取得して「何とか食えるようになった」体験記その10

商工会・商工会議所との関係構築

前回(その9)では2009年、単身商工会議所へアプローチをして大失敗したお話でしたが、今回の解説はその後10年近く経った2018年、あることをきっかけに商工会議所・商工会さんとの関係を構築することが出来た体験記です。ちょっと生々しい話もいくつか出てきます。

きっかけは指導員向け研修のお手伝い

きっかけは2018年夏、地元静岡県の商工会議所経営指導員さま向けの指導員研修の「お手伝い」をしたことでした。ITコーディネータ資格を持っていて、全国的に活躍している先輩ITコーディネータさんが、全国各地の商工会議所経営指導員さま向けに「IT導入・利活用支援の実務研修をする」ということになりました。
その一環で静岡県の商工会議所で研修講師をされる際に「研修後に、地元のITコーディネータとして紹介できる人を探しているが、研修にサブ講師として参加してもらえないか?」というご依頼をいただきました。

このときに提示された条件が

  • サブ講師としての講師費用(報酬)はありません。交通費も出ませんから、全てご自分の手弁当で来てください。
  • その代わりに、経営指導員向けの研修内容をすべてご覧に入れます。またどういうポイントを押さえれば商工会議所さんから声がかかるのか?もそのときにお伝えします。
  • 研修終了後、「今後地元でITCの支援が必要なら岸本さんに」と推挙しておきます

とのことでした。つまり、一切カネは出ないけど、その後につながるアプローチ(可能性)は提供します、というもの。

個人的に、筆者はこういう「心意気」的なものにとっても弱いんです(笑)・・・そこまで言われるなら(ほんとにその後仕事が獲得できるかどうかはともかく)、とにかく行って全力でサポートしようじゃないか・・・と、気合を入れて研修のお手伝いに行きました。

結果、当日どうなったかというと・・・静岡県の商工会議所で一番エラいひとを紹介していただき名刺交換して、「今後何かあったら静岡県内の商工会議所さんの支援はすべてこの岸本さんが引き受けられます」と、ナンかすげ〜〜〜後押しをしていただくことになりました。

後日談(ネタバレ(笑))

実はこの件には後日談があります・・・この研修講師をされていた先輩ITCさん、静岡県だけでなく全国各県で私と同じような立場の方に声をかけ、サポートを依頼していたんだそうです。

けれど、その中でホントに手弁当で交通費も報酬も一切言わずに来てホントにまじめにサポートをしてくれたのは、私を含め数人だけだったそうで・・・その数人については、この先輩ITCさんも本気で後押ししようとご尽力してくださったようです。(他の方たちは、当日来なかったり、来てもやる気なさそうに居眠りしてたりと、結構ダメダメ感満載だったようで・・・^^;)

偶然立て続けにもう1件

この件があった数カ月後、このときのお話が実現して、「静岡県内の商工会議所・商工会の合同研修」に講師としてお招きをいただきました(1時間だけのワンポイント講師でしたが)。このときに「単にITを入れるためだけのIT支援」ではない「経営・事業を成長させるための本当のIT利活用とその支援」という話をさせていただいたのですが、そのときにお話した内容は、ほぼ「ITCのプロセスガイドライン」の話でした。

この講師のお仕事の中(つまり講演の中)で最後に「ITありきの専門家ではだめだ」「補助金取りたい一心で申請書書くだけがうまい支援ではダメだ」という話をしていたところ、そのお話を次の時間帯の講師として出番を待っていたある方が会場の隅の方で聞かれていたのだそうです。

その講師の方が、ご自分の講義の冒頭で「直前にお話されていたITCの岸本さんの話は、非常に重要な話で彼のような支援スタイルは本当に貴重だ」というような趣旨の発言をされたのだそうです。(残念ながらというか、良かったと言うか・・その時私はすでに会場を去っていたのでその話は聞いていないのですが)・・・偶然だったのですが、この講師の方は、静岡県内の商工会・商工会議所に影響力が絶大な方で、この発言で、私の存在がさらに静岡県内の商工会議所・商工会さんに知られることになったようです。

横のつながりから攻めていくアプローチはとても大切

私の場合は、幸運にも立て続けに2件、商工会・商工会議所様に影響力の強い方からの後押しをいただけたことで、一気に関係を築き上げることが出来ました。

実際、2009年〜2018年までの約10年間は、商工会・商工会議所さんからはただの一度も支援のご相談や専門家派遣の依頼を頂いたことがなかったのですが、この件があった2018年10月以降、数件ご相談をいただくようになり、更にその後現在に至るまで、毎年数件〜10件程度のご相談案件をいただいています。

やはり、単身なんのツテもなくアプローチするよりは、何らか影響力のある方と横でつながっておいて、その方からのご尽力をいただくというアプローチの仕方のほうが、遥かに有効だということは、どういう支援機関の場合も同じのようですね。

次はITCAとの関係構築

これまで「地方のひとりのITコーディネータ」として、地元で食えるようになるために金融機関とどう関係を作ったか?商工会商工会議所とどう関係を築いたか?についての体験記をご紹介してきました。

さて、次は、時系列は前後するのですが、私が「稼げないITC」から「なんとか食えるようにななる」までに至る、もう一つの重要な要素、「ITコーディネータ協会との関係構築」についてご紹介しようと思います。

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